礼記 / 内則
搗珍:取牛羊麋鹿麇之肉必脢,每物與牛若一捶,反側之,去其餌,熟出之,去其皽,柔其肉。 漬:取牛肉必新殺者,薄切之,必絕其理;湛諸美酒,期朝而食之以醢若醯醷。
新字:搗珍:取牛羊麋鹿麇之肉必脢,毎物与牛若一捶,反側之,去其餌,熟出之,去其皽,柔其肉。 漬:取牛肉必新殺者,薄切之,必絶其理;湛諸美酒,期朝而食之以醢若醯醷。
書き下し
搗珍(とうちん)は、牛・羊・麋・鹿・麇の肉を取るに必ず脄(ばい)にし、物毎に牛と一の若(ごと)くし、捶(う)ち、これを反側し、其の餌(じ)を去り、熟してこれを出だし、其の餌を去り、其の肉を柔らかにす。 漬(し)は、牛肉を取るに必ず新たに殺す者にし、薄くこれを切り、必ず其の理を絶ち、諸(これ)を美酒に湛(ひた)し、朝を期してこれを食らうに醢若しくは醯醷(けいい)を以てす。
現代語訳
搗珍は、牛・羊・大鹿・鹿・のろの肉を使い、必ず背中の筋肉を用いる。どの肉も牛肉と同じ分量にそろえ、たたいて、裏返しながらまんべんなくたたき、筋を取り除く。煮えたら取り出して、さらに筋や薄皮を取り除き、肉を柔らかくする。 漬は、牛肉を使い、必ず新しく屠ったものにする。薄く切り、必ず筋目を断ち切るように切る。これを美酒に漬けて、翌朝になったら、塩辛、あるいは酢や梅の汁をつけて食べる。
解説
八珍のうち、搗珍と漬の作り方を記す段である。搗珍は、牛・羊・鹿などの背の肉を、同じ分量ずつたたいて筋を除き、煮てさらに筋を取って柔らかくしたもので、肉のたたきに近い。鄭玄はこの肉を脊の両側の肉と注している。漬は、屠ったばかりの牛肉を薄く、筋目を断つように切り、酒に一晩漬けて、翌朝に塩辛や酢、梅の汁をつけて食べるもので、生肉を酒で締めた料理である。いずれも、歯の弱った老人でも食べやすいように肉を柔らかくする工夫が凝らされている。内則篇は子が父母に仕える礼を述べる篇であり、ここに料理の細かな手順が記されているのは、老いた親に柔らかくおいしいものを供することが孝の実践だったからである。相手の身体の状態に合わせて食べ物を整える心配りは、介護の食事作りにも生きる考え方である。
この章句が説くこと
礼記内則八珍料理老い
関連する章句
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礼記・内則糝(さん)は、牛・羊・豕の肉を取り、三つながら一の如くしてこれを小切し、稲米と与(とも)にす。稲米二、肉一、合わせて以て餌と為してこれを煎る。 肝膋(かんりょう)は、狗の肝一を取り、これを幪(おお)い、其の膋(りょう)を以て濡らしてこれを炙り、焦(こ)がるるを挙げ、其の膋は蓼せず。稲米を取り挙げてこれを糔溲(しゅうしゅう)し、狼の臅膏(しょくこう)を小切して、以て稲米と与に酏と為す。
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礼記・内則熬(ごう)を為るには、これを捶ち、其の皽を去り、萑を編みて牛肉を布(し)き、桂と姜とを屑(くだ)きて以て諸を上に灑(そそ)ぎてこれに塩し、乾かしてこれを食らう。羊に施すも亦たかくの如くし、麋に施し、鹿に施し、麇に施すも皆牛羊の如くす。肉を濡らさんと欲すれば則ち釈(ひた)してこれを煎るに醢を以てし、肉を乾かさんと欲すれば則ち捶ちてこれを食らう。
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礼記・内則飯は、黍(しょ)・稷(しょく)・稲・粱・白黍・黄粱・稰(しょ)・穛(さく)。 膳は、膷(きょう)・臐(くん)・膮(ぎょう)・醢(かい)・牛炙(ぎゅうしゃ)。醢・牛胾(ぎゅうし)、醢・牛膾(ぎゅうかい)。羊炙・羊胾、醢・豕炙(ししゃ)。醢・豕胾、芥醤(かいしょう)・魚膾。雉・兎・鶉(じゅん)・鷃(あん)。 飲は、重醴(ちょうれい)、稲醴の清糟(せいそう)、黍醴の清糟、粱醴の清糟、或いは酏(い)を以て醴と為す。黍酏・漿(しょう)・水・醷(い)・濫(らん)。
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礼記・内則酒は、清・白。 羞(しゅう)は、糗(きゅう)・餌(じ)・粉(ふん)・酏(い)。 食は、蝸醢(かかい)にして菰食(こし)、雉羹。麦食に、脯羹(ほこう)・鶏羹。析稌(せきと)に、犬羹・兎羹。和糝(わさん)して蓼(たで)せず。濡豚(じゅとん)は、苦を包みて蓼を実(み)たす。濡鶏は、醢醤にして蓼を実たす。濡魚は、卵醤にして蓼を実たす。濡鼈(じゅべつ)は、醢醤にして蓼を実たす。腶修(だんしゅう)には蚳醢(ちかい)、脯羹には兎醢、麋膚(びふ)には魚醢、魚膾には芥醤、麋腥(びせい)には醢、醤。桃諸(とうしょ)・梅諸、卵塩。
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礼記・内則凡そ食の斉(ざい)は春の時に視(なぞら)え、羹の斉は夏の時に視え、醤の斉は秋の時に視え、飲の斉は冬の時に視う。凡そ和は、春は酸を多くし、夏は苦を多くし、秋は辛を多くし、冬は鹹(かん)を多くし、調うるに滑甘を以てす。牛は稌(と)に宜しく、羊は黍に宜しく、豕は稷に宜しく、犬は粱に宜しく、雁は麦に宜しく、魚は苽(こ)に宜し。春は羔豚(こうとん)に宜しく、膳するに膏薌(こうきょう)を以てす。夏は腒鱐(きょしゅく)に宜しく、膳するに膏臊(こうそう)を以てす。秋は犢麑(とくげい)に宜しく、膳するに膏腥を以てす。冬は鮮羽に宜しく、膳するに膏羶(こうせん)を以てす。牛修・鹿脯・田豕脯・麋脯・麇脯。麋・鹿・田豕・麇は、皆軒(けん)有り。雉・兎は皆芼(ぼう)有り。爵・鷃・蜩(ちょう)・范(はん)・芝栭(しじ)・菱・椇(く)・棗・栗・榛・柿・瓜・桃・李・梅・杏・楂(さ)・梨・姜(きょう)・桂。大夫の燕食には、膾有れば脯無く、脯有れば膾無し。士は羹胾(こうし)を弐(ふたつ)にせず。庶人の耆老は徒食せず。膾は、春には葱を用い、秋には芥を用う。豚は、春には韭(にら)を用い、秋には蓼を用う。脂には葱を用い、膏には薤(らっきょう)を用い、三牲には藙(ぎ)を用い、和には醯(けい)を用い、獣には梅を用う。鶉羹・鶏羹・鴽(じょ)は、これに釀(じょう)するに蓼を以てす。魴鱮(ほうしょ)は烝(む)し、雛は焼き、雉は、薌(きょう)にして蓼無し。雛鼈(すうべつ)を食らわず。狼は腸を去り、狗は腎を去り、狸は正脊(せいせき)を去り、兎は尻を去り、狐は首を去り、豚は脳を去り、魚は乙を去り、鼈は醜を去る。肉にはこれを脱すと曰い、魚にはこれを作(さく)すと曰い、棗にはこれを新たにすと曰い、栗にはこれを撰(えら)ぶと曰い、桃にはこれを膽(たん)すと曰い、柤梨にはこれを攢(さん)すと曰う。牛夜鳴けば則ち庮(ゆう)なり。羊の泠毛(れいもう)にして毳(ぜい)なるは、羶なり。狗の赤股にして躁なるは、臊(そう)なり。鳥の麃色(ひょうしょく)にして沙鳴するは、鬱なり。豕の望視して交睫(こうしょう)するは、腥なり。馬の黒脊にして般臂(はんぴ)なるは、漏(ろう)なり。雛の尾握に盈(み)たざるは食らわず。舒雁(じょがん)の翠(すい)、鵠鴞(こくきょう)の胖(はん)、舒鳧(じょふ)の翠、鶏の肝、雁の腎、鴇(ほう)の奥、鹿の胃。肉の腥(なま)にして細き者を膾と為し、大なる者を軒と為す。或いは曰く、麋・鹿・魚は菹(そ)と為し、麇は辟鶏(へきけい)と為し、野豕は軒と為し、兎は宛脾(えんぴ)と為し、葱若(も)しくは薤を切り、諸(これ)を醯に実たして以てこれを柔らかにす、と。羹食は、諸侯自り以下庶人に至るまで等無し。大夫には秩膳無し。大夫七十にして閣有り。天子の閣は、左に達すること五、右に達すること五。公侯伯は房中に五、大夫は閣に三、士は坫(てん)に一。
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