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忍経 / 人服雅量

王化基為人寬厚,嘗知某州,與僚屬同坐。有卒過庭下,為化基喏而不及。幕職怒,召其卒笞之。化基聞之,笑曰:「我不知其欲得一喏如此之重也。昔或知之,化基無用此喏,當以與之。」人皆伏其雅量。

新字:王化基為人寛厚,嘗知某州,与僚属同坐。有卒過庭下,為化基喏而不及。幕職怒,召其卒笞之。化基聞之,笑曰:「我不知其欲得一喏如此之重也。昔或知之,化基無用此喏,当以与之。」人皆伏其雅量。

書き下し

王化基は人と為り寬厚なり。嘗て某州に知たり、僚屬と同坐す。卒の庭下を過ぐる有り、化基の為に喏するも及ばず。幕職怒り、其の卒を召して之を笞うつ。化基之を聞き、笑ひて曰く「我其の一喏を得んと欲すること此くの如く重きを知らざりき。昔或いは之を知らば、化基此の喏を用ふること無く、當に以て之に與ふべし」と。人皆な其の雅量に伏す。

現代語訳

王化基(北宋の人)は人柄が寛大で温厚でした。ある州の知事をしていたとき、属官たちと同席していました。一人の兵卒が庭先を通りかかり、化基には「はい」と会釈しましたが、(そばの幕僚には)会釈が行き届きませんでした。幕僚は怒り、その兵卒を呼びつけて鞭で打たせました。化基はそれを聞いて笑い、「一声の会釈を受けたいという気持ちがこれほど重いものだとは知らなかった。もし前から知っていたら、私はこの会釈など要らないから、あの人に譲ってあげたのに」と言いました。人々はみなその大らかな度量に感服しました。

解説

挨拶一つをめぐる小さな騒ぎを、ユーモアで収めた王化基の話です。幕僚は自分への会釈がなかったことに腹を立て、兵卒を打たせました。王化基は幕僚を叱りつけるのではなく、会釈がそれほど欲しいなら自分の分を譲ったのに、と笑ってみせました。この一言で、面子にこだわることの小ささが、誰も傷つけずに浮かび上がります。上に立つ人が敬意の形式にこだわらなければ、下の者も余計な気を遣わずにすみます。職場でも、挨拶や序列の扱いで誰かが機嫌を損ねる場面はあります。形式より中身を見る余裕を、軽やかに示した一条です。
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この章句が説くこと

寛容度量面子雅量忍

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