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忍経 / 服公有量

王武恭公用善撫士,狀貌雄偉動人,雖里兒巷婦,外至夷狄,皆如其名氏。御史中丞道輔等,因事以為言,乃罷樞密,出鎮。又貶官,知隨州。士皆為之懼,公舉止言色如平時,唯不接賓客而已。久之,道輔卒,客有謂公曰:「此善公者也。」愀然曰:「孔公以職言事,豈害我者!可惜朝廷亡一直臣。」於是,言者終身以為愧,而士大夫服公為有量。

新字:王武恭公用善撫士,状貌雄偉動人,雖里児巷婦,外至夷狄,皆如其名氏。御史中丞道輔等,因事以為言,乃罷枢密,出鎮。又貶官,知随州。士皆為之懼,公舉止言色如平時,唯不接賓客而已。久之,道輔卒,客有謂公曰:「此善公者也。」愀然曰:「孔公以職言事,豈害我者!可惜朝廷亡一直臣。」於是,言者終身以為愧,而士大夫服公為有量。

書き下し

王武恭公用は善く士を撫す。狀貌雄偉にして人を動かし、里兒巷婦より、外は夷狄に至るまで、皆な其の名氏を如(知)る。御史中丞道輔等、事に因りて以て言を爲し、乃ち樞密を罷め、出でて鎮す。又た官を貶せられ、隨州に知たり。士皆な之が爲に懼る。公の舉止言色平時の如く、唯だ賓客に接せざるのみ。之を久しうして、道輔卒す。客の公に謂ふ有りて曰く、「此れ公に善き者なり」と。愀然として曰く、「孔公は職を以て事を言ふ、豈に我を害する者ならんや。惜しむべし、朝廷一直臣を亡へり」と。是に於いて、言者終身以て愧と爲し、士大夫公を服して量有りと爲す。

現代語訳

王武恭公(北宋の武将王徳用)は兵士をよくいたわりました。体つきや容貌は雄々しく立派で人を感動させ、村の子どもや町の女たちから、国外の異民族に至るまで、みなその名を知っていました。御史中丞の孔道輔らは、ある事にかこつけて彼を弾劾し、王徳用は枢密院の職を罷免されて地方の軍の長として出されました。さらに官位を下げられ、随州の知事となりました。士人たちはみな彼の身を案じて恐れましたが、王徳用の立ち居振る舞いや言葉つき、顔色はふだんと変わらず、ただ客に会わないだけでした。しばらくして孔道輔が亡くなりました。ある客が王徳用に「これはあなたにとって良い知らせです」と言うと、王徳用は顔を曇らせて言いました。「孔公は職務として事を論じたのだ。どうして私を害する者であろうか。惜しいことに、朝廷は一人の剛直な臣を失った」。これによって、彼を弾劾した者たちは生涯それを恥とし、士大夫は王徳用の度量に心服しました。

解説

北宋の武将王徳用の逸話です。人望を集めたことがかえって疑いを招き、御史中丞の孔道輔らに弾劾されて、要職を追われ、地方に左遷されました。それでも王徳用はふだんどおりにふるまい、ただ客を避けて身を慎みました。やがて孔道輔が亡くなり、客が喜ぶべきことだと言ったとき、王徳用は、孔道輔は職務として意見を述べただけで、自分を害する者ではないと言い、直臣を失ったことを惜しんだのです。自分を追い落とした相手を、その役目の上で正しく評価できるのは並大抵のことではありません。立場上の対立と個人的な恨みを分けて考えることは、今日の組織人にも大切な心がけでしょう。

この章句が説くこと

度量弾劾怨み王徳用

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