宋名臣言行録 / 後集巻十・韓維
知熈州王韶赴闕奏事將領景思立敗績韶還任上表待罪奏斬獲首級公草批答曰方其敗時卿適在朝何嫌而上章引咎勉綏新附之衆毋以多殺為功讀者竦然
新字:知熈州王韶赴闕奏事将領景思立敗績韶還任上表待罪奏斬獲首級公草批答曰方其敗時卿適在朝何嫌而上章引咎勉綏新附之衆毋以多殺為功読者竦然
書き下し
熙州を知する王韶闕に赴きて事を奏す。將領景思立敗績す。韶任に還り表を上りて罪を待ち、斬獲の首級を奏す。公批答を草して曰く、其の敗るる時に方り卿適ま朝に在り。何の嫌ありてか章を上りて咎を引く。勉めて新附の衆を綏んぜよ。多く殺すを以て功と爲す毋かれと。讀む者竦然たり。
現代語訳
熙州を治める王韶が都に赴いて事を奏上した。その間に将領の景思立が敗れた。王韶は任地に戻り、表を上げて処分を待ち、討ち取った首の数を奏上した。公は返答の文を起草して言った。「敗れたそのとき、卿はたまたま朝廷にいた。何の憚りがあって上表し、自ら咎を引き受けるのか。努めて新たに帰属した人々を安んぜよ。多く殺すことを功としてはならない」。読む者は身を引き締めた。
解説
返書が二つのことをしています。まず、負う必要のない責任を降ろしました。**敗れたそのとき、卿はたまたま朝廷にいた。何の憚りがあって上表し、自ら咎を引き受けるのか。**その場にいなかった者に責を負わせない。そして、添えられていた首級の報告への返しが一行です。**努めて新たに帰属した人々を安んぜよ。多く殺すことを功としてはならない。**罪を償おうとして数を挙げてきた相手に、数えるものが違うと告げています。
この章句が説くこと
将領景思立敗績す韶任に還り表を上りて罪を待つ斬獲の首級を奏す其の敗るる時に方り卿適ま朝に在り何の嫌ありてか章を上りて咎を引く勉めて新附の衆を綏んぜよ多く殺すを以て功と為す毋かれ敗戦責任
関連する章句
-
葉隠・聞書第一役儀(やくぎ)を危(あぶ)なきと思うは、すくたれ者なり。外(ほか)の事、私(わたくし)の事にて仕損(しそん)ずるとこそ辱(はじ)にてもあるべし。その事に備(そな)わりたる身なれば、その事にて仕損ずるは定まりたることなり。不調法(ぶちょうほう)にて何と相勤(あいつと)むべきやとの心遣(こころづか)いは、あるべき事なり。
-
論語・衛霊公篇子曰わく、君子はこれを己に求め、小人はこれを人に求む。
-
論語・季氏篇孔子曰く、禄の公室を去ること、五世なり。政の大夫に逮ぶこと、四世なり。故に夫の三桓の子孫、微なり。
-
論語・憲問篇子曰く、「我を知ること莫きかな。」子貢曰く、「何為れぞ其れ子を知ること莫からんや。」子曰く、「天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知る者は、其れ天か。」
-
論語・里仁篇子曰わく、父母在すれば、遠く遊ばず。遊ぶに必ず方有り。
-
尚書・湯誥其れ爾(なんじ)ら万方(ばんぽう)に罪あらば、予(われ)一人に在り。予一人に罪あらば、爾ら万方を以(もっ)てすること無かれ。