宋名臣言行録 / 前集巻四・楊億
公為學士時草答契丹書云鄰壤交歡進草既入真宗自注其側云朽壤鼠壤糞壤大年遽改為鄰境明旦引唐故事學士作文書有所改為不稱職當罷因亟求解職真宗語宰相曰楊億不通商量真有氣性
新字:公為学士時草答契丹書云鄰壤交歓進草既入真宗自注其側云朽壤鼠壤糞壤大年遽改為鄰境明旦引唐故事学士作文書有所改為不称職当罷因亟求解職真宗語宰相曰楊億不通商量真有気性
書き下し
公、學士たる時、契丹に答うる書を草して云う、鄰壤交歡すと。草を進むること既に入る。真宗、自ら其の側に注して云う、朽壤・鼠壤・糞壤と。大年、遽かに改めて鄰境と為す。明旦、唐の故事を引く、學士の作る文書、改むる所有るは不稱職と為す、當に罷むべしと。因りて亟かに解職を求む。真宗、宰相に語りて曰く、楊億は商量に通ぜず。真に氣性有りと。
現代語訳
公が学士であったとき、契丹への返書の草案を作って「隣壌(となりの土地)と交歓する」と書いた。草案を差し出して奥へ入った。真宗は自らその脇に注を書いた。「朽壌・鼠壌・糞壌」。楊億はすぐさま「隣境」と直した。翌朝、唐の先例を引いて言った。学士の作った文書に直すところがあるのは職に堪えないということであり、辞めるべきです、と。そこですぐに免職を願い出た。真宗は宰相に言った。「楊億は融通が利かない。まことに気性のある男だ」。
解説
皇帝が脇に書いた注が、辛辣な洒落でした。**「壌」という字を使うなら、朽壌・鼠壌・糞壌もあるぞ。**楊億はすぐ「隣境」と直しています。問題はその翌朝でした。**学士の作った文書に直すところがあるのは職に堪えないということだ**と唐の先例を引いて、免職を願い出ています。直せば済む話を、責任の話にした。帝の評も残っています。融通が利かない、まことに気性のある男だ、と。
この章句が説くこと
学士の作る文書改むる所有るは不称職と為す当に罷むべし真宗自ら其の側に注して云う朽壤鼠壤糞壤楊億は商量に通ぜず真に気性有り責任面目文章
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