宋名臣言行録 / 前集巻一・范質
質謂太祖曰太尉既以禮受禪則事太后當如母養少主當如子太祖揮涕許諾由是深敬重質仍以為相者累年終質之世太后少主皆無恙故太祖太宗每言賢相必以質為稱首
新字:質謂太祖曰太尉既以礼受禅則事太后当如母養少主当如子太祖揮涕許諾由是深敬重質仍以為相者累年終質之世太后少主皆無恙故太祖太宗毎言賢相必以質為称首
書き下し
質、太祖に謂いて曰く、太尉既に禮を以て禪を受くれば、則ち太后に事うること當に母の如くすべく、少主を養うこと當に子の如くすべしと。太祖涕を揮いて許諾す。是に由りて深く質を敬重し、仍りて以て相と為す者累年。質の世を終うるまで、太后・少主皆な恙無し。故に太祖・太宗、賢相を言う毎に、必ず質を以て稱首と為す。
現代語訳
范質は太祖に言った。「太尉はすでに礼をもって禅譲を受けられたのですから、太后に仕えるのは母のようにし、幼い主君を養うのは子のようになさるべきです」。太祖は涙をぬぐって承諾した。これによって深く范質を敬い重んじ、そのまま何年も宰相とした。范質が世を終えるまで、太后も幼主も無事であった。だから太祖と太宗は、賢い宰相のことを言うたびに必ず范質を第一に挙げた。
解説
前の条で「一度死ぬことが欠けている」と言われた人が、その代わりに何をしたかの条です。禅譲を受けた相手に向かって、**太后には母のように仕え、幼い主君は子のように養え**と条件を突きつけました。太祖は泣いて承諾します。そして范質が生きているあいだ、前王朝の太后も幼主も無事でした。死んで節を示す道ではなく、生きて相手に守らせる道を選んだ、という読み方ができる一条です。
この章句が説くこと
太后に事うること当に母の如くすべく少主を養うこと当に子の如くすべし質の世を終うるまで太后少主皆な恙無し賢相を言う毎に必ず質を以て称首と為す約束保護交代
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