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甲陽軍鑑 / 品第六

彈正が一騎當千と賴もしく思給し使、心がはりして堺より加勢をよぶ、其狀を信長公へまいらする事、是れ天罰の程こそをそろしけれ、いづれの家の破るゝも臣君を蔑にし奉り、下を詔ふ故也、時うつり樣体こそかはれ共主君の家を破るは松永が小人の故なりしかば、其身もほろびうするぞかし、能く觀じて見給へ、

新字:弾正が一騎当千と頼もしく思給し使、心がはりして堺より加勢をよぶ、其状を信長公へまいらする事、是れ天罰の程こそをそろしけれ、いづれの家の破るゝも臣君を蔑にし奉り、下を詔ふ故也、時うつり様体こそかはれ共主君の家を破るは松永が小人の故なりしかば、其身もほろびうするぞかし、能く観じて見給へ、

書き下し

弾正が一騎当千と頼もしく思給し使、心がはりして堺より加勢をよぶ、其状を信長公へまいらする事、是れ天罰の程こそをそろしけれ、いづれの家の破るゝも臣君を蔑にし奉り、下を詔ふ故也、時うつり様体こそかはれ共主君の家を破るは松永が小人の故なりしかば、其身もほろびうするぞかし、能く観じて見給へ、

現代語訳

弾正が一騎当千と頼もしく思われた使いが、心変わりして堺から加勢を呼ぶ、その状を信長公へ参らせる事、これは天罰のほどこそ恐ろしけれ。いずれの家が破れるのも、臣が君をないがしろにし奉り、下を詐るゆえである。時が移り様体こそ変われども、主君の家を破るのは松永が小人であるゆえであったから、その身も滅び失せるぞかし。よく観じて見給え。

解説

家が壊れる時の順序を一行にしている。臣が主を軽んじ、下を詐る。その両方をした者は自分も滅びる。松永の最後を裏切った使いが握っていたのも、下を詐り続けた報いだと見ている。よく観じて見よ、と読み手に投げて終える。松永の最後を裏切った使いが握っていたのも、下を詐り続けた報いだと見ている。よく観じて見よ、と読み手に投げて終える結び方である。

この章句が説くこと

天罰小人背信滅亡因果

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