鬼谷子 / 中経
卻語者、察伺短也。故多必有數短之處、識其短驗之。動以忌諱、示以時禁。其人恐畏、然後結信以安其心、收語蓋藏而卻之。無見己之所不能於多方之人。
新字:却語者、察伺短也。故多必有数短之処、識其短験之。動以忌諱、示以時禁。其人恐畏、然後結信以安其心、収語蓋蔵而却之。無見己之所不能於多方之人。
書き下し
語を却くとは、短を察し伺うなり。故に多ければ必ず數々短なる處有り。其の短を識りて之を驗す。動かすに忌諱を以てし、示すに時禁を以てす。其の人恐れ畏る。然る後に信を結びて以て其の心を安んじ、語を收め蓋い藏して之を却く。己の能わざる所を多方の人に見わす無かれ。
現代語訳
言葉を退けるとは、短所を察してうかがうことである。だから、多く語る者には必ずいくつも短所のあるところがある。その短所を見分けてそれを験す。忌み避けるべきことによって動かし、その時々の禁じられていることを示す。その人は恐れ畏れる。そのうえで信を結んでその心を安んじ、言葉を収めて覆い隠し、退ける。自分にできないところを、多くの人に見せてはならない。
解説
多く語る者には短所が多く現れる、という観察から始まります。そして短所を突いて動かし、恐れさせてから信を結んで安心させ、言葉を収めて退く。飴と鞭の順序が明示されています。露骨ですが、交渉の現場で実際に使われる型です。最後の一句だけ性質が違い、防御の話になります。「己の能わざる所を多方の人に見わす無かれ」——自分のできないところを多くの人に見せるな。多く語れば短所が出る、という冒頭と対になっています。話しすぎないことが、自分の守りになる。
この章句が説くこと
短を識りて之を験す信を結びて以て其の心を安んず己の能わざる所を見わす無かれ防御警戒交渉
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