鬼谷子 / 権篇
言其有利者、從其所長也、言其有害者、避其所短也。故介蟲之捍也、必以堅厚、螫蟲之動也、必以毒螫。故禽獸知用其長、而談者亦知其用而用也。
新字:言其有利者、従其所長也、言其有害者、避其所短也。故介虫之捍也、必以堅厚、螫虫之動也、必以毒螫。故禽獣知用其長、而談者亦知其用而用也。
書き下し
其の利有るを言うは、其の長ずる所に從うなり。其の害有るを言うは、其の短ずる所を避くるなり。故に介蟲の捍ぐや、必ず堅厚を以てし、螫蟲の動くや、必ず毒螫を以てす。故に禽獸すら其の長を用うるを知る。而して談ずる者も亦た其の用を知りて用うるなり。
現代語訳
利があると語るのは、その長所に従うことである。害があると語るのは、その短所を避けることである。だから甲羅のある虫が身を守るときは、必ず堅く厚いものによる。刺す虫が動くときは、必ず毒によって刺す。だから鳥や獣でさえ、自分の長所を用いることを知っている。語る者もまた、その用いどころを知って用いるのである。
解説
甲虫は堅さで守り、毒虫は毒で刺す。それぞれ自分の持っているもので勝負する。鳥獣でさえそうしているのに、人は自分の長所を外して戦うことがある、という含みです。前段の「自分の短所を用いない」と対になっています。そして交渉の場面に引き戻されます。利があると語るのは長所に沿うこと、害があると語るのは短所を避けること。話の組み立て方そのものが、自分の強みの使い方で決まる。数字が強いなら数字で、関係が強いなら関係で語る。借り物の型で語ると、堅さのない甲虫になります。
この章句が説くこと
介虫の捍ぐや必ず堅厚を以てす其の長ずる所に従う強み自己認識説得交渉
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