管子 / 四稱
桓公曰:「仲父旣以語我昔者有道之臣矣,不當盡語我昔者無道之臣乎?吾亦鑒焉。」管子對曰:「夷吾聞之於徐伯曰:昔者無道之臣,委質為臣,賓事左右,執説以進,不蘄亾已遂進不退,假寵鬻貴。尊其貨賄,卑其爵位。進曰輔之,退曰不可。以敗其君,皆曰非我。不仁羣處,以攻賢者。見賢若貨,見賤若過。貪於貨賄,競於酒食。不與善人,唯其所事。倨敖不恭,不友善士。讒賊與鬭,不彌人爭,唯趣人詔。湛湎於酒,行義不從。不脩先故,變易國常。擅創為令,迷惑其君。生奪之政,保貴寵矜。遷損善士,捕援貨人。入則乘等,出則黨駢。貨賄相入,酒食相親。俱亂其君。君若有過,各奉其身。此亦謂昔者無道之臣。」桓公曰:「善哉。」
新字:桓公曰:「仲父既以語我昔者有道之臣矣,不当尽語我昔者無道之臣乎?吾亦鑒焉。」管子対曰:「夷吾聞之於徐伯曰:昔者無道之臣,委質為臣,賓事左右,執説以進,不蘄亾已遂進不退,仮寵鬻貴。尊其貨賄,卑其爵位。進曰輔之,退曰不可。以敗其君,皆曰非我。不仁羣処,以攻賢者。見賢若貨,見賤若過。貪於貨賄,競於酒食。不与善人,唯其所事。倨敖不恭,不友善士。讒賊与闘,不弥人争,唯趣人詔。湛湎於酒,行義不従。不脩先故,変易国常。擅創為令,迷惑其君。生奪之政,保貴寵矜。遷損善士,捕援貨人。入則乗等,出則党駢。貨賄相入,酒食相親。倶乱其君。君若有過,各奉其身。此亦謂昔者無道之臣。」桓公曰:「善哉。」
書き下し
桓公曰く、「仲父旣に以て我に昔者有道の臣を語れり、當に盡く我に昔者無道の臣を語るべからざるか。吾も亦た焉に鑒みん」と。管子對えて曰く、「夷吾之を徐伯に聞けり、曰く、昔者無道の臣は、質を委ねて臣と為り、左右に賓事し、説を執りて以て進み、已むを蘄わず、遂に進みて退かず、寵を假りて貴を鬻ぐ。其の貨賄を尊び、其の爵位を卑しむ。進みては之を輔けんと曰い、退きては不可と曰う。以て其の君を敗りて、皆な我に非ずと曰う。不仁にして羣處し、以て賢者を攻む。賢を見ること貨の若く、賤を見ること過ぐるが若し。貨賄を貪り、酒食を競う。善人に與せず、唯だ其の事うる所のみ。倨敖不恭にして、善士を友とせず。讒賊は與に鬭い、人の爭いを彌めず、唯だ人の詔を趣す。酒に湛湎して、行義從わず。先故を脩めず、國常を變易す。擅に創めて令を為し、其の君を迷惑す。生きながら之が政を奪い、貴寵を保ちて矜る。善士を遷し損じ、貨人を捕え援く。入りては則ち等に乘り、出でては則ち黨駢す。貨賄相入り、酒食相親しむ。俱に其の君を亂す。君若し過ち有らば、各おの其の身を奉ず。此れも亦た昔者無道の臣と謂う」と。桓公曰く、「善いかな」と。
現代語訳
桓公が言った。仲父はもう私に昔の道ある臣を語ってくれた。昔の道なき臣についても、すべて語ってくれないだろうか。私もそれを鏡にしたい。管子が答えた。私は徐伯からこう聞いています。昔の道なき臣は、身柄を預けて臣となりながら、側近に取り入って仕え、自分の説を握って進み出て、やめようとせず、進むばかりで退かず、寵を借りて貴さを売った。財貨を尊び、爵位を軽んじた。前に出ては助けますと言い、退いてはできませんと言う。それで君を損なっておいて、みな自分のせいではないと言う。仁がないまま群れ集まって、賢者を攻める。賢者を見れば財貨のように扱い、賤しい者を見れば通り過ぎるように扱う。財貨をむさぼり、酒食を競う。善い人には与せず、ただ自分が仕える相手だけを見る。おごり高ぶって恭しくなく、善い士を友としない。讒言する賊とは共に争い、人の争いを収めず、ただ人の言いつけを急がせる。酒におぼれ、行いと義には従わない。先例を修めず、国の常を変えてしまう。勝手に新しく令を作り、君を迷わせる。生きているうちからその政を奪い、寵を保って誇る。善い士を退けて損ない、財のある者を引き入れる。内に入っては等級を飛び越え、外に出ては徒党を並べる。財貨がやり取りされ、酒食で親しむ。そろって君を乱す。君に過ちがあれば、それぞれ自分の身だけを守る。これも昔の道なき臣といってよいでしょう。桓公は、よいことだ、と言った。
解説
この章句が説くこと
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