韓非子 / 亡徵第十五
耕戰之士困、末作之民利者、可亡也。
新字:耕戦之士困、末作之民利者、可亡也。
書き下し
耕戰の士困しみ、末作の民利する者は、亡ぶ可きなり。
現代語訳
本業(農耕や戦闘)に従事する者が困窮し、商業などの副業に従事する者が利益を得る者は、滅亡する可能性がある。
解説
田畑を耕し戦って国を支える者が困窮し、それとは別の商いなど余業に励む者ばかりが利益を得てしまう。そのような有様の国は滅びると韓非は述べています。今の暮らしに置き換えれば、実際に汗を流して物を作ったり、人に尽くす仕事をしたりしている人が正当に報われず、口先だけの立ち回りや、その場しのぎの小手先の稼ぎ方をする人ばかりが得をする状態です。会社であれば現場の仕事、家庭であれば家事や子育て、地域であれば日々の世話役の仕事がこれにあたります。本当に骨を折っている人が損をし、うまく立ち回るだけの人が得をすると分かれば、まじめに働く人ほど心が離れていきます。誰が本当に土台を支えているかを見極め、そこに報いることが、集まりを長続きさせる基本です。
この章句が説くこと
現場軽視本業成果主義インセンティブ士気
関連する章句
-
史記 周本紀周の后稷は、名を棄とす。其の母は有邰氏の女にして、姜原と曰ふ。姜原は帝嚳の元妃為り。姜原野に出で、巨人の跡を見、心忻然として説び、之を践まんと欲す。之を践みて身動くこと孕める者の如し。期に居りて子を生む。以て不祥と為し、之を隘巷に棄つるに、馬牛の過ぐる者皆辟けて践まず。徙して之を林中に置くに、適山林に人多きに会ひ、之を遷す。而して渠中の氷上に棄つるに、飛鳥其の翼を以て之を覆薦す。姜原以て神と為し、遂に収めて之を養長す。初め之を棄てんと欲す、因りて名づけて棄と曰ふ。棄児為りし時、屹として巨人の志の如し。其の游戯するや、好んで麻・菽を種樹し、麻・菽美なり。成人と為るに及び、遂に耕農を好み、地の宜しきを相し、穀に宜しき者は焉に稼穡す。民皆之に法則す。帝堯之を聞き、棄を挙げて農師と為す。天下其の利を得て、功有り。帝舜曰く、「棄、黎民始めて饑う。爾后稷となりて時に百穀を播け」と。棄を邰に封じ、号して后稷と曰ひ、別に姫氏を姓とす。后稷の興るは、陶唐・虞・夏の際に在り、皆令徳有り。后稷卒し、子不窋立つ。不窋の末年、夏后氏の政衰へ、稷を去りて務めず。不窋以て其の官を失ひて戎狄の間に犇る。不窋卒し、子鞠立つ。鞠卒し、子公劉立つ。公劉戎狄の間に在りと雖も、復た后稷の業を修め、耕種を務め、地宜を行ひ、漆・沮より渭を度り、材用を取る。行く者に資有り、居る者に畜積有り、民其の慶に頼る。百姓之を懐ひ、多く徙りて保帰す。周道の興ること此より始まる。故に詩人歌楽して其の徳を思ふ。公劉卒し、子慶節立ち、豳に国す。慶節卒し、子皇仆立つ。皇仆卒し、子差弗立つ。差弗卒し、子毀隃立つ。毀隃卒し、子公非立つ。公非卒し、子高圉立つ。高圉卒し、子亜圉立つ。亜圉卒し、子公叔祖類立つ。公叔祖類卒し、子古公亶父立つ。
-
『囲炉夜話』第百二十一則・己を正すは人を率ゐるの本たり種田の人、改めて廛市の生涯を習はば、定めて敗路と爲る。 讀書の人、甘んじて衙門の詞訟に與らば、便ち下流に入る。 己を正すは、人を率ゐるの本たり。成を守るには、創業の艱を念ふ。
-
『韓非子』亡徵第十五群臣學を爲し、門子辯を好み、商賈外に積み、小民私に仗る者は、亡ぶ可きなり。宫室臺榭陂池を好み、車服器玩を事とし、好んで百姓を罷露し、貨財を煎靡する者は、亡ぶ可きなり。
-
『甲陽軍鑑』起巻出家は仏道修行の儀、家職なり、儒者は儒道の義家職也、町人はあきなひ家職なり、百姓は耕作の事、是れ家職也、右之外も、諸芸能、其道々に、我なりたる業に、心がくる事尤也、家職を大形にしてやめて、余の事をいたし、精にいるゝは、大非義也、其非義といふは、出家が、学問をわきへなし、武辺を心がくる儀と、武士が奉公の武道をわきへなし、学問を第一におもひ、或は乱舞にすく事、皆是家職をしらざる儀也、
-
『囲炉夜話』第百三十八則・大任に當たる者は其の心良に苦し世の樂しみを言ふ者は、但だ讀書の樂しみ、田家の樂しみと曰ふ。本業を務むる者は、其の境常に安きことを知るべし。 古の憂ひを言ふ者は、必ず天下の憂ひ、廊廟の憂ひと曰ふ。大任に當たる者は、其の心良に苦しきことを知るべし。
-
『都鄙問答』卷之四・或人主人行狀ノ是非ヲ問ノ段曰く、日外二男、内証にて歌学せることを聞き、喜んで何ぞ褒美を遣らんとて、大算盤三面、褒美として遣らるゝ。歌学の褒美に算盤とは、実に木に竹を継ぐごとく、文盲なることをせらるゝ。是れらは如何。答ふ、其の褒美の心を知らずして笑ふ汝は、扨々文盲なる者かな。其の二男の身の行ひを聞けば、家業の事は一つとして勉めず、尤も色所のあそびはせられねども、謡鼓歌学に懸かつて居らるゝよし。其のゆへ前方には、親父も折々意見せられしよし。然れども、汝らが思ふに、二男は悪所へは往かれず、旦那位の身上にて、是れほどのことを急しく申されなば、反つて心辟みて悪しからんと、大勢口々に云はるゝゆへ親父も其の後はいはれぬよし。君子は本をつとむとあり。すべて家業に疎きほどの徒者、何方に有るべきや。第一に不孝となる。不孝の罪は重くして、刑罰にも入れられずと、孝経にも説き玉へり。家業に疎きを悲しみ、歌を詠むを喜ばるゝには非ず。歌学に事よせて、此の褒美の、算盤は如何なることぞと、心を付けさせん為なるべし。それを汝等も、同じく利口さうに、頭をふつて是れを笑ふ。親の子を思ふ慈悲、至らざる所なし。汝らが婦寺の忠を以て、及ぶべきにあらず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る