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韓非子 / 顕学第五十

侈而墯者貧,而力而儉者富。今上徵斂於富人以布施於貧家,是奪力儉而與侈墯也,而欲索民之疾作而節用,不可得也。

新字:侈而墯者貧,而力而倹者富。今上徴斂於富人以布施於貧家,是奪力倹而与侈墯也,而欲索民之疾作而節用,不可得也。

書き下し

侈にして墯なる者は貧しく、力めて倹なる者は富む。今上、富人に徵斂して以て貧家に布施するは、是れ力倹を奪いて侈墯に与うるなり。而して民の疾く作りて用を節せんことを索めんと欲するも、得可からざるなり。

現代語訳

贅沢で怠け者は貧しく、努め励んで倹約する者は富む。いま上が富んだ者から取り立てて貧しい家に施すのは、努力と倹約から奪って贅沢と怠惰に与えることである。それでいて民に、よく働き節約することを求めても、得られはしない。

解説

再分配への正面からの批判である。取り立てて配ることは、努力した者から奪って怠けた者に与えることだ、と。そのうえで、それをやりながら勤勉を求めても無理だと結論する。行為とその帰結の矛盾を突いている。現代の政策論争にそのまま持ち込むには乱暴すぎる議論だろう。貧困の原因を怠惰に限定しているのは、明らかに一面的である。ただ、制度設計の視点としては見るべきところがある。何に報い、何を補うかを設計するとき、報われる行動が実際に何かを確かめる必要がある。組織の評価や配分でも同じで、成果を出した部署から原資を移して不振の部署を支えるのは、しばしば必要な判断だが、それを続ければ何が報われるのかという信号が消える。信号と要求が食い違えば、要求のほうは通らない。

この章句が説くこと

インセンティブ再分配人事評価信号公平性勤勉

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