韓非子 / 愛臣第四
故不赦死,不宥刑,赦死宥刑,是謂威淫。社稷將危,國家偏威。是故大臣之禄雖大,不得藉威城市;黨與雖衆,不得臣士卒。故人臣處國無私朝,居軍無私交,其府庫不得私貸於家。
新字:故不赦死,不宥刑,赦死宥刑,是謂威淫。社稷将危,国家偏威。是故大臣之禄雖大,不得藉威城市;党与雖衆,不得臣士卒。故人臣処国無私朝,居軍無私交,其府庫不得私貸於家。
書き下し
故に死を赦さず、刑を宥(ゆる)さず。死を赦し刑を宥すは、是を威淫と謂ふ。社稷將に危からんとし、國家威に偏す。是の故に大臣の禄は大なりと雖も、城市に威を藉(か)るを得ず。黨與衆しと雖も、士卒を臣とするを得ず。故に人臣の國に處るや私朝無く、軍に居るや私交無く、其の府庫は私かに家に貸すを得ず。
現代語訳
だから死罪を赦さず、刑罰を免じない。死罪を赦し刑を免じることを「威淫(君主の威が緩みただれること)」という。そうなれば国家の土台が危うくなり、威権が(臣下の側へ)偏る。それゆえ大臣の俸禄が多くても、都市で君主の威を笠に着ることは許されず、仲間が多くても、兵士を自分の家来のように私物化することは許されない。だから臣下は、国(朝廷)において私的な朝廷を持たず、軍にあって私的な交際をせず、国庫の財を私的に自家へ融通してはならない。
解説
「大臣が受け取る俸禄がどれほど多くても、領地や城市から私的に税を取り立てることは許されず、仲間がどれほど多くても、兵士を自分の家来のように私物化することは許されない」という戒めです。地位が高く、多くの取り分を得ている人ほど、周りにある組織の資源や人を、まるで自分の持ち物のように扱ってしまう誘惑にかられがちです。会社で言えば、高い役職にある人が会社の設備や取引先を私用のために使ったり、部下たちを自分個人の子分のように従わせたりする振る舞いがこれにあたります。町内会や同好会の世話役が、集めた会費や集まった人手を私的な用事に流用するのも同じ過ちです。役割が大きくなるほど、公と私をはっきり分ける自覚が求められます。
この章句が説くこと
公私混同権限乱用私物化派閥人材の流動性
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