韓非子 / 制分第五十五
實故有所至,而理失其量,量之失,非法使然也,法定而任慧也。釋法而任慧者,則受事者安得其務?
新字:実故有所至,而理失其量,量之失,非法使然也,法定而任慧也。釈法而任慧者,則受事者安得其務?
書き下し
法定まるも慧に任ずればなり。法を釋てて慧に任ずれば、則ち事を受くる者安んぞ其の務めを得ん。
現代語訳
法が定まっていても個人の才知に任せるからだ。法を捨てて才知に任せるなら、仕事を受ける者はどうしてその職務を果たすことができようか。
解説
実際にはきちんと基準に達している場合でも、それを測る物差しの方が狂ってしまうことがある。その狂いは、決まり(法)自体のせいではなく、決まりが定まっているのに人の才覚や勘(慧)に頼って運用してしまうからだ、と韓非子は言います。決まりを脇に置いて、その場その場の才覚に任せてしまえば、仕事を任された人はどうやって自分の務めを果たせばよいのか分からなくなってしまいます。上に立つ人のさじ加減で決まりの運用がころころ変わると、任された人が一番困ります。決まりは誰に対しても同じように当てはめられて初めて役に立つのです。家庭で子どもに「門限は九時」と決めておきながら、その日の機嫌で許したり叱ったりすれば、子どもはいつ何をすればよいのか分からなくなります。近所の集まりでも当番の決まりを幹事の好き嫌いで曲げてしまえば、誰もその決まりを信じなくなるでしょう。才覚のある人の勘に頼らず、いつも同じように守られてこそ、皆が安心して動けるようになるのです。
この章句が説くこと
公平性一貫性ルールの形骸化マネジメント属人化
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