韓非子 / 心度第五十四
刑勝てば民静かに、賞繁ければ姦生ず。故に民を治むる者は、刑勝つは、治の首なり、賞の繁きは、亂の本なり。
新字:刑勝てば民静かに、賞繁ければ姦生ず。故に民を治むる者は、刑勝つは、治の首なり、賞の繁きは、乱の本なり。
書き下し
刑勝てば民静かに、賞繁ければ姦生ず。故に民を治むる者は、刑勝つは、治の首なり、賞の繁きは、亂の本なり。
現代語訳
刑罰(ルール・罰則)が機能すれば、人々は秩序正しくなる。褒賞が(基準なく)頻繁すぎれば、不正や社内政治(姦)が生まれる。したがって、組織を治めるには、まず罰則が機能すること(刑勝つ)が統治の第一歩であり、むやみな褒賞(賞の繁き)は混乱の元である。
解説
組織の安定(治の首)は、明確なルールと、それを破った時の公平な罰則(刑)によってもたらされる。一方、インセンティブ(賞)を基準なく乱発すると、「言った者勝ち」「アピール上手が得」という不公平感(姦)を生み、組織(亂の本)を腐敗させる。規律の担保が先、褒賞はその後である。
この章句が説くこと
信賞必罰インセンティブ設計公平性規律社内政治
関連する章句
-
『韓非子』姦劫弒臣第十四故に善く主為る者は、賞を明らかにし利を設けて以て之を勧め、...刑を嚴にし罰を重くして以て之を禁じ...
-
『韓非子』有度第六過ちを刑するに大臣をも避けず、善を賞するに匹夫をも遺れず。
-
『韓非子』主道第五誠に功有れば、則ち疏賤と雖も必ず賞し、誠に過ち有れば、則ち近愛と雖も必ず誅す。
-
『韓非子』外儲説右上第三十四吳起之出愛妻、文公之斬顛頡、皆違其情者也。
-
『韓非子』難四第三十九未だ齊の巧臣を知らずして、明亂の罰を廢し、未然に責めて、昭昭の罪を誅せざるは、此れ則ち妄なり。
-
『韓非子』難三第三十八桓公能く管仲の功を用ひて、鉤を射るの怨みを忘る。文公能く寺人の言を聽きて、祛を斬るの罪を棄つ。... 是れ臣讎するに、而も明燭すこと能わず、多く之に資を假すに、自ら以て賢と為して戒めず。