韓非子 / 人主第五十二
且法術之士與當途之臣,不相容也。
新字:且法術之士与当途之臣,不相容也。
書き下し
且つ法術の士と當途の臣とは、相容れざるなり。
現代語訳
そもそも、法や術(専門知識や仕組み)を重んじる専門家(法術の士)と、権力の中枢にいる重臣(當途の臣)とは、相容れないものである。
解説
専門的な知見やデータ、プロセス(法術)に基づいて合理的に判断しようとする専門家(例:法務、財務、エンジニア)と、社内政治や既得権益(勢い)に基づいて物事を動かそうとする権力者(當途の臣)は、組織内で常に対立する。リーダーは、この対立構造を認識し、権力者の情実で専門家の合理的な意見が潰されないよう統制する必要がある。
この章句が説くこと
専門家(スタッフ)権力者(ライン)社内政治合理性既得権益
関連する章句
-
『韓非子』和氏第十三主、術を用うれば則ち大臣、斷を擅にするを得ず、近習、敢て重を賣らざらん。…則ち法術なる者は乃ち群臣士民の禍とする所なり。
-
説苑・君道楚の昭王疾有り。之を卜して曰く、「河祟を為す」と。大夫三牲を用いんことを請う。王曰く、「止めよ、古の先王は地を割き土を制め、祭は望を過ぎず。江・漢・睢・漳は楚の望なり。禍福の至るや、是に過ぎず。不穀不徳なりと雖も、河は罪を獲る所に非ず」と。遂に祭らず。仲尼之を聞きて曰く、「昭王は天道を知ると謂うべし、其の国を失わざるや宜なるかな」と。
-
『韓非子』外儲説右上第三十四夫れ国にも亦た狗有り。有道の士、其の術を懐きて以て万乗の主に明らかにせんと欲するも、大臣猛狗と為りて迎えて之を齕む。此れ人主の蔽脅せらるる所以にして、有道の士の用いられざる所以なり。
-
『韓非子』說難第十二故に之と大人を論ずれば、則ち以て己を閒すと為す。...其の愛する所を論ずれば則ち以て資を藉ると為す。其の憎む所を論ずれば、則ち以て己を嘗みると為す。
-
『韓非子』外儲說左下第三十三往年臣君の為に鄴を治むるに、而るに君臣の璽を奪う。今臣左右の為に鄴を治むるに、而るに君臣を拜す。臣治むること能わず。
-
『韓非子』解老第二十其の厚きに處りて其の薄きに處らずとは、情實を行いて禮貌を去るなり。其の實に處りて其の華に處らずとは、必ず理に緣りて徑絶せざるなり。