韓非子 / 忠孝第五十一
夫所謂明君者、能畜其臣者也。所謂賢臣者、能明法辟、治官職、以戴其君者也。
書き下し
夫れ所謂明君とは、能く其の臣を畜う者なり。所謂賢臣とは、能く法辟(法刑)を明らかにし、官職を治め、以て其の君を戴く者なり。
現代語訳
明君とは、よくその臣下を統御する者である。賢臣とは、法律を明らかにし、官職を治め、君主を支える者である。
解説
すぐれた君主とは、家来をよく養い治める者であり、すぐれた家来とは、法や決まりをはっきりさせ、自分の役目をしっかり果たして君主を支える者だ、と韓非は言います。人の上に立つ者の役目は、下で働く人たちをきちんと導き、力を発揮できる場を整えることにあります。一方で、下で働く人の役目は、決められた枠組みの中で自分の仕事に責任を持ち、全体の利益になるように尽くすことです。これは会社の上司と部下だけでなく、家庭における親と子、地域の世話役とその手伝いをする人との関係にも通じます。互いが自分の役割をきちんと果たしてこそ、家庭も職場も地域も、初めて安定した形で回っていくのです。
この章句が説くこと
役割定義マネジメントフォロワーシップ実行力組織規律
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『韓非子』忠孝第五十一故に人臣は堯・舜の賢を稱する母く、湯・武の伐を譽むる母く、烈士の高きを言う母く、力を盡くし法を守り、心を主に事うるに専らにする者を忠臣と為す。
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説苑・臣術人臣の術は、順従して命を覆し、敢えて専らにする所無く、義は苟くも合わず、位は苟くも尊からず。必ず国に益有り、必ず君に補う有り。故に其の身尊くして子孫之を保つ。故に人臣の行いに六正六邪有り。六正を行えば則ち栄え、六邪を犯せば則ち辱めらる。夫れ栄辱なる者は禍福の門なり。何をか六正六邪と謂うや。六正とは、一に曰く、萌芽未だ動かず、形兆未だ見れざるに、昭然として独り存亡の幾、得失の要を見、預め不然の前に禁じ、主をして超然として顕栄の処に立たしめ、天下孝を称す、此くの如き者は聖臣なり。二に曰く、虚心白意、善を進め道を信じ、主に勉むるに体誼を以てし、主に諭すに長策を以てし、将に其の美を順い、其の悪を匡救し、功成り事立てば、善を君に帰し、敢えて独り其の労を伐たず、此くの如き者は良臣なり。三に曰く、身を卑しくし体を賤しくし、夙に興き夜に寐ね、賢を進めて解らず、しばしば往古の徳行事を称して以て主意を厲まし、庶幾わくは益有りて以て国家社稷宗廟を安んず、此くの如き者は忠臣なり。四に曰く、幽を明察し、成敗を見ること早く、防ぎて之を救い、引きて之を復し、其の間を塞ぎ、其の源を絶ち、禍を転じて以て福と為し、君をして終に憂い無からしむ、此くの如き者は智臣なり。五に曰く、文を守り法を奉じ、官職の事に任じ、禄を辞し賜を譲り、贈遺を受けず、衣服端斉、飲食節倹、此くの如き者は貞臣なり。六に曰く、国家昏乱し、為す所道ならざるに、然れども敢えて主の顔面を犯し、君の過失を言い、其の誅を辞せず、身死して国安んじ、行う所を悔いず、此くの如き者は直臣なり。是を六正と為すなり。六邪とは、一に曰く、官に安んじ禄を貪り、私家を営みて公事を務めず、其の智を懐き其の能を蔵し、主論に饑え策に渇するも、猶お節を尽くすを肯んぜず、容容乎として世と沈浮上下し、左右観望す、此くの如き者は具臣なり。二に曰く、主の言う所は皆善と曰い、主の為す所は皆可と曰い、隠かに主の好む所を求めて即ち之を進め、以て主の耳目を快くし、偷かに合し苟くも容れて主と楽を為し、其の後害を顧みず、此くの如き者は諛臣なり。三に曰く、中実頗険にして、外容貌小謹、巧言令色にして、又心賢を嫉み、進めんと欲する所は則ち其の美を明らかにして其の悪を隠し、退けんと欲する所は則ち其の過ちを明らかにして其の美を匿し、主をして妄行過任せしめ、賞罰当たらず、号令行われず、此くの如き者は奸臣なり。四に曰く、智は非を飾るに足り、辯は説を行うに足り、言を反し辞を易えて文章を成し、内は骨肉の親を離し、外は朝廷を妒み乱す、此くの如き者は讒臣なり。五に曰く、権を専らにし勢を擅にし、国事を持招して以て私門に軽重を為し、党を成して以て其の家を富ませ、又威勢を増加し、主命を擅矯して以て自ら顕貴す、此くの如き者は賊臣なり。六に曰く、諂言以て邪にし、主を不義に墜し、朋党比周して、以て主の明を蔽い、入りては則ち辯言好辞、出でては則ち更に復た其の言語を異にし、白黒をして別無からしめ、是非をして間無からしめ、伺候して推すべければ、而して因りて附然し、主をして悪境内に佈かしめ、四鄰に聞こえしむ、此くの如き者は亡国の臣なり、是を六邪と謂う。賢臣は六正の道に処りて、六邪の術を行わず、故に上安くして下治まり、生きては則ち楽しまれ、死しては則ち思わる、此れ人臣の術なり。
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