韓非子 / 詭使第四十五
所以盡民力、易下死也,今戰勝攻取之士勞而賞不霑,而卜筮、視手理、狐蠱爲順辭於前者日賜。
新字:所以尽民力、易下死也,今戦勝攻取之士労而賞不霑,而卜筮、視手理、狐蠱為順辞於前者日賜。
書き下し
民力を尽くし、下の死を易ふる所以なり、今戦勝攻取の士は労して賞霑はず、而して卜筮・視手理・狐蠱にして前に順辞を為す者は日に賜はる。
現代語訳
(賞や禄は)民の力を尽くさせ、下の者に死を厭わせないためのものである。ところが今、戦いに勝ち城を攻め取った兵士は苦労しても賞に浴さず、占い師や手相見、まじない師のように君主の前で耳に心地よい言葉を並べる者が毎日下賜を受けている。
解説
詭使篇で、賞禄の本来の目的と実際の使われ方の食い違いを指摘する一節です。賞と禄は、民に力を尽くさせ、命を懸けて戦わせるためにある。それなのに戦場で勝ち城を取った兵士は報われず、占いや手相、まじないで君主の前に耳あたりのよいことを言う者が毎日褒美を受け取っている。韓非は亡徴篇でも、占いを信じ祭祀を好む君主を亡国の兆しに数えています。報酬が成果ではなく、上の気分を良くする言葉に対して払われれば、命を懸けて働く者はいなくなります。組織で言えば、実績を上げた現場より、経営者に都合のよい見通しを語る人が重用される状態です。報酬の向け先を誤る危うさを示しています。
この章句が説くこと
賞禄信賞必罰人事評価成果報酬公平性
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