韓非子 / 飾邪第十九
臣故曰:明於治之數,則國雖小,富;賞罰敬信,民雖寡,强。賞罰無度,國雖大,兵弱者,地非其地,民非其民也。
新字:臣故曰:明於治之数,則国雖小,富;賞罰敬信,民雖寡,强。賞罰無度,国雖大,兵弱者,地非其地,民非其民也。
書き下し
治の数に明らかならば、則ち國は小なりと雖も富み、賞罰、敬信ならば、民寡しと雖も強し。
現代語訳
統治の原則(治の数)が明確であれば、国は小さくても豊かになり、賞罰が公正で信頼できるもの(敬信)であれば、民は少なくても強くなる。
解説
国を治める道理がはっきりしていれば、たとえ国が小さくても豊かになり、褒美と罰が公正で信頼できるものであれば、たとえ民の数が少なくても強くなる、という教えです。集団の大きさそのものは、実は本質ではありません。小さな家族でも、小さな職場でも、何を大切にするかという筋道がはっきりしていて、頑張った人にはきちんと報い、良くないことをした人にはきちんと正すという公正さが行き渡っていれば、少ない人数でも大きな力を発揮できます。逆に、人数だけは多くても、頑張っても頑張らなくても扱いが変わらず、良し悪しの基準もあいまいな集団は、いくら大人数でも力を発揮できません。人の上に立つ者にとって大切なのは、規模を大きくすることよりも、まず筋道をはっきりさせ、公正な扱いを貫くことなのです。
この章句が説くこと
少数精鋭スタートアップ人事評価公平性信頼ルール
関連する章句
-
葉隠・聞書第十一前にて兵の多少に依らず、究竟の士五六人を合はせ槍を入るれば、一方突崩すものなりと、沙汰(さた)これあり候由。
-
呉子・応変篇武侯問いて曰く、左右に高山あり、地甚だ狭迫にして、卒かに敵人に遇い、之を撃たんとするも敢えてせず、之を去らんとするも得ず、之を奈何せん、と。起対えて曰く、此を谷戦と謂う。衆しと雖も用いられず。吾が材士を募りて敵と相当たらしめ、輕足利兵を以て前行と為す。車を分ち騎を列ねて四旁に隠し、相去ること数里、其の兵を見わすこと無くば、敵必ず陳を堅くし、進退敢えてせず。是に於て旌を出し旆を列ね、行きて山外に出でて之に営せば、敵人必ず懼れん。車騎もて之に挑み、休むを得しむること勿かれ。此れ谷戦の法なり、と。
-
『韓非子』安危第二十五安術七有り、一に曰く、賞罰は是非に隨う、六に曰く、尺寸有りて意度無し、七に曰く、信有りて詐無し。
-
『韓非子』初見秦第一賞を言うも則ち與えず、罰を言うも則ち行わず、賞罰信ならず、故に士民死せざるなり。
-
呉子・図国篇武侯問いて曰く、「願わくは兵を治め、人を料り、国を固むるの道を聞かん」と。起対えて曰く、「古の明王は、必ず君臣の礼を謹み、上下の儀を飾り、吏民を安集し、俗に順いて教え、良材を簡び募りて、以て不虞に備う。昔、斉の桓公は士五万を募りて、以て諸侯に霸たり。晋の文公は召して前行と為すこと四万、以て其の志を獲たり。秦の繆公は陥陳三万を置きて、以て鄰敵を服せしむ。故に強国の君は、必ず其の民を料る。民に胆勇気力有る者は、聚めて一卒と為す。進みて戦い力を効し、以て其の忠勇を顕すを楽しむ者は、聚めて一卒と為す。能く高きを踰え遠きを超え、足軽くして善く走る者は、聚めて一卒と為す。王臣にして位を失い、功を上に見さんと欲する者は、聚めて一卒と為す。城を棄て守りを去り、其の醜を除かんと欲する者は、聚めて一卒と為す。此の五者は、軍の練鋭なり。此の三千人有らば、内より出でては以て囲みを決すべく、外より入りては以て城を屠るべし」と。
-
呂氏春秋・用民②闔廬の兵を用うるや、三萬に過ぎず、吳起の兵を用うるや、五萬に過ぎず。萬乘の國、其の三萬五萬為るや尚ほ多し。今、之を外にしては則ち以て敵を拒ぐ可からず、之を內にしては則ち以て國を守る可からざるは、其の民、用う可からざるに非ざるなり。之を用うる所以を得ざればなり。之を用うる所以を得ざれば、國大なりと雖も、勢便なりと雖も、卒衆しと雖も、何ぞ益せん。古者、天下を有ちて亡びし者多し。其の民の用を為さざればなり。民を用うるの論は、熟せざる可からず。