韓非子 / 用人第二十七
有刑法而死無螫毒,故姦人服。發矢中的,賞罰當符,故堯復生,羿復立。如此,則上無殷、夏之患,下無比干之禍,君高枕而臣樂業,道蔽天地,德極萬世矣。夫人主不塞隙穴而勞力於赭堊,暴雨疾風必壞。不去眉睫之禍而慕賁、育之死,不謹蕭牆之患而固金城於遠境,不用近賢之謀而外結萬乘之交於千里,飄風一旦起,則賁、育不及救,而外交不及至,禍莫大於此。
新字:有刑法而死無螫毒,故姦人服。発矢中的,賞罰当符,故堯復生,羿復立。如此,則上無殷、夏之患,下無比干之禍,君高枕而臣楽業,道蔽天地,徳極万世矣。夫人主不塞隙穴而労力於赭堊,暴雨疾風必壊。不去眉睫之禍而慕賁、育之死,不謹蕭牆之患而固金城於遠境,不用近賢之謀而外結万乗之交於千里,飄風一旦起,則賁、育不及救,而外交不及至,禍莫大於此。
書き下し
刑法有りて死すとも螫毒(せきどく)無し、故に姦人服す。矢を發して的に中(あ)たり、賞罰符に當たる、故に堯復た生き、羿(げい)復た立つ。此の如くなれば、則ち上に殷・夏の患無く、下に比干の禍無く、君は枕を高くして臣は業を樂しみ、道は天地を蔽(おお)ひ、德は萬世に極まる。夫れ人主、隙穴を塞がずして力を赭堊(しゃあく)に勞すれば、暴雨疾風必ず壞る。眉睫の禍を去らずして賁(ほん)・育(いく)の死を慕ひ、蕭牆(しょうしょう)の患を謹まずして金城を遠境に固くし、近賢の謀を用ひずして外萬乘の交はりを千里に結ばば、飄風一旦起こらば、則ち賁・育も救ふに及ばず、外交も至るに及ばず、禍は此れより大なるは莫し。
現代語訳
刑法があって処刑されても、そこに(私怨という)毒は残らない。だから悪人も従う。矢を放てば的に当たるように、賞罰が割り符のようにぴたりと合う。だから(名君の)堯が生き返り、(弓の名手の)羿が再び立ったかのようになる。こうなれば、上は殷や夏の滅亡のような憂いがなく、下は比干のような忠臣が殺される禍がなく、君主は枕を高くして眠り、臣下は仕事を楽しみ、道は天地を覆い、徳は万世に及ぶ。ところが君主が、壁の隙間を塞がずに上塗りの化粧ばかりに力を注げば、暴風雨が来れば必ず崩れる。まつげの先ほど間近にある禍を取り除かずに孟賁や夏育のような勇士の死にざまを慕い、内輪(蕭牆)の憂いを正さずに遠い国境の城を固め、身近な賢者の策を用いずに千里の彼方の大国と外交を結ぶ。ひとたびつむじ風が起これば、孟賁や夏育でも救いに間に合わず、外国の援軍も到着が間に合わない。禍でこれより大きいものはない。
解説
この章句が説くこと
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