師導古典を学びたいすべての人に

十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

世間此物アリ。大小異ナレトモ。此道存在シテ缺減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌバカリシヤ。世間此事アリ。大小異ナレトモ此道存在シテ缺減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌハカリシヤ。緣事ヲ擧ハ。西域記ノ中ニ。釋種疎族烏仗那國王備法駕。就龍宮迎龍女以還都。福力所感遂得人身。深自慶悅。然其宿業未盡。餘報猶在。每至燕私。首出九龍之頭。釋種畏惡莫知所計。伺其寐也。利刀斷之。龍女驚寤曰。斯非後繼之利。非徒我命有少損傷。而汝子孫當苦頭痛。故此國族常有斯患ト此等ノ事モ。思惟スレハ平等性ノ緣起ヲ明ムヘキシヤ。先祖ノ所作カ。累代子孫ノ禍トナリ福トナル。其緣ヲ引テ消失セヌシヤ。

新字:世間此物アリ。大小異ナレトモ。此道存在シテ欠減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌバカリシヤ。世間此事アリ。大小異ナレトモ此道存在シテ欠減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌハカリシヤ。縁事ヲ挙ハ。西域記ノ中ニ。釈種疎族烏仗那国王備法駕。就竜宮迎竜女以還都。福力所感遂得人身。深自慶悦。然其宿業未尽。余報猶在。毎至燕私。首出九竜之頭。釈種畏悪莫知所計。伺其寐也。利刀断之。竜女驚寤曰。斯非後継之利。非徒我命有少損傷。而汝子孫当苦頭痛。故此国族常有斯患ト此等ノ事モ。思惟スレハ平等性ノ縁起ヲ明ムヘキシヤ。先祖ノ所作カ。累代子孫ノ禍トナリ福トナル。其縁ヲ引テ消失セヌシヤ。

書き下し

世間此物アリ。大小異ナレトモ。此道存在シテ欠減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌバカリシヤ。世間此事アリ。大小異ナレトモ此道存在シテ欠減ナイ。唯私ニ掩ハルル者カ知ヌハカリシヤ。縁事ヲ挙ハ。西域記ノ中ニ。釈種疎族烏仗那国王備法駕。就竜宮迎竜女以還都。福力所感遂得人身。深自慶悅。然其宿業未尽。余報猶在。毎至燕私。首出九竜之頭。釈種畏悪莫知所計。伺其寐也。利刀断之。竜女驚寤曰。斯非後継之利。非徒我命有少損傷。而汝子孫当苦頭痛。故此国族常有斯患ト此等ノ事モ。思惟スレハ平等性ノ縁起ヲ明ムヘキシヤ。先祖ノ所作カ。累代子孫ノ禍トナリ福トナル。其縁ヲ引テ消失セヌシヤ。

現代語訳

世間にはこの物がある。大小は異なっても、この道は存在していて欠けることがない。ただ私に覆われた者が知らないだけである。世間にはこの事がある。大小は異なっても、この道は存在していて欠けることがない。ただ私に覆われた者が知らないだけである。縁となる事例を挙げれば、西域記の中に次のようにある。釈迦族の遠い一族である烏仗那国の王が、儀仗を整え、龍宮に行って龍女を迎え、都に連れ帰った。福の力に感じてついに人の身を得て、深くみずから喜んだ。しかしその前世の業はまだ尽きず、残りの報いがなお残っていて、くつろいで共に過ごすときになるたびに、首から九つの龍の頭が出た。釈迦族の王は恐れ嫌ったが、どうしてよいか分からなかった。その眠っているのをうかがって、鋭い刀でこれを断ち切った。龍女は驚いて目覚めて言った。これは後の世継ぎのためにならない。私の命が少し傷つくだけでなく、あなたの子孫は頭痛に苦しむだろう、と。それでこの国の一族には常にこの患いがある、と。こうしたことも、よく思いめぐらせば、平等性の縁起を明らめるべきものである。先祖のしたことが、代々の子孫の禍となり福となる。その縁を引いて消えないのである。

解説

玄奘の大唐西域記が伝える烏仗那国(ウッディヤーナ、今のパキスタン北部スワート地方)の王族の伝承を引く。龍女を妃に迎えた王が、寝ている間に龍の頭を斬ったため、子孫が代々頭痛に苦しむようになったという。尊者はこれを、先祖の行いが縁として子孫に続く平等性の縁起の例として示す。伝承の真偽は問わず、一つの行いが関係の糸を通じて後々まで響くという見方として受け取りたい。組織でも、前任者の判断が後の世代の苦労や恵みとして残ることはよくある。

この章句が説くこと

縁起因果子孫平等性西域記烏仗那国

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる