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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

苑師ノ華嚴音義ニカウシタ事カアル。中天竺國ノ南ニ銷融國ト云有。此國ハ小國ナレトモ。劫初ヨリ他國ノ侵擾ナシ。何故ナレハ。此國ノ人ハ往古ヨリ受來テ妄語セス。若妄語スル者有レハ擯出スル。此德ニ因テ。若他國攻來ルトキ。眞實語ヲ說テ咒願スレハ。其敵ノ兵具悉ク銷融シテ。火ノ膏ヲ消スル如クト有ル。一說ニハ是モ童男童女ノ終ニ婬事ニ觸ヌモノニ。咒ヲ唱ヘサセシムルトアル。

新字:苑師ノ華厳音義ニカウシタ事カアル。中天竺国ノ南ニ銷融国ト云有。此国ハ小国ナレトモ。劫初ヨリ他国ノ侵擾ナシ。何故ナレハ。此国ノ人ハ往古ヨリ受来テ妄語セス。若妄語スル者有レハ擯出スル。此徳ニ因テ。若他国攻来ルトキ。真実語ヲ説テ咒願スレハ。其敵ノ兵具悉ク銷融シテ。火ノ膏ヲ消スル如クト有ル。一説ニハ是モ童男童女ノ終ニ婬事ニ触ヌモノニ。咒ヲ唱ヘサセシムルトアル。

書き下し

苑師ノ華厳音義ニカウシタ事カアル。中天竺国ノ南ニ銷融国ト云有。此国ハ小国ナレトモ。劫初ヨリ他国ノ侵擾ナシ。何故ナレハ。此国ノ人ハ往古ヨリ受来テ妄語セス。若妄語スル者有レハ擯出スル。此徳ニ因テ。若他国攻来ルトキ。真実語ヲ説テ咒願スレハ。其敵ノ兵具悉ク銷融シテ。火ノ膏ヲ消スル如クト有ル。一説ニハ是モ童男童女ノ終ニ婬事ニ触ヌモノニ。咒ヲ唱ヘサセシムルトアル。

現代語訳

慧苑法師の華厳音義に、こういうことがある。中天竺国の南に銷融国というところがある。この国は小国であるけれども、劫の初めから他国の侵略がない。なぜかと言えば、この国の人は昔から受け継いできて妄語をしない。もし妄語する者があれば追放する。この徳によって、もし他国が攻めて来る時、真実の言葉を説いて呪願すれば、その敵の武器はことごとく溶けて、火が脂を溶かすようである、とある。一説には、これも生涯婬事に触れたことのない童男童女に呪を唱えさせる、とある。

解説

華厳経の語句を注釈した慧苑の音義に見える、銷融国という国の話である。国じゅうが嘘をつかず、嘘をつく者は追放してきたため、攻められても真実の言葉で呪願すれば敵の武器が溶けてしまうという。これは慈雲が真実語の力を示すために引いた伝承である。武器が溶けるという不思議を信じるかどうかは別として、嘘のない共同体は外からの揺さぶりにも崩されにくい、という読み方ができる。誠実さを文化として守り続ける組織は、危機のときにこそ強さを見せる。

この章句が説くこと

真実語銷融国呪願共同体

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