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葉隠 / 聞書第一

湛然和尚御申し候。奉公人の利發なるは、のだゝぬものなり。されども、ふうけの、人に成りたる事はなし。

新字:湛然和尚御申し候。奉公人の利発なるは、のだゝぬものなり。されども、ふうけの、人に成りたる事はなし。

書き下し

湛然(たんねん)和尚御申し候。奉公人の利発なるは、のだたぬものなり。されども、ふうけ(腑抜け)の、人に成りたる事はなし。

現代語訳

湛然和尚が言われた。「奉公人が利発なのは、あまり役に立たぬものだ。とはいえ、愚か者が立派な人物になった例もない。」

解説

湛然和尚の言葉として、「奉公人が利発なのは、あまり役に立たぬものだ。とはいえ、愚か者が立派な人物になった例もない」と伝える一条です。才気ばしった賢さは、かえって組織の中で浮いてしまい実際の役には立ちにくい。しかし、まるきりの愚か者が大成することもない、という両面を突いています。葉隠は各所で、小賢しい利口者より素直で腹の据わった者を評価しますが、ここでは同時に、鈍さを美化しすぎることもしていません。現代でも、頭の回転の速さだけでは信頼や成果に直結せず、素直さや誠実さが伴って初めて生きます。賢さの使いどころを問い直させる、含みのある一言です。

この章句が説くこと

利発素直さ賢さの使い方誠実過信を戒める奉公

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