言志四録 / 南洲手抄
尊徳性、是以道問學、即是尊徳性。先立其大者、則其知也眞。能迪其知、則其功也實。畢竟一條路往來耳。
新字:尊徳性、是以道問學、即是尊徳性。先立其大者、則其知也真。能迪其知、則其功也実。畢竟一条路往来耳。
書き下し
徳性を尊ぶ、是を以て問学に道る、即ち是れ徳性を尊ぶなり。先づ其の大なる者を立つれば、則ち其知や真なり。能く其の知を迪めば、則ち其功や実なり。畢竟一条路の往来のみ。
現代語訳
徳性を尊び高めること、それによって学問の道を歩む、それがそのまま徳性を尊ぶことになる。まず大きな根本(志や本心)を立てれば、そこから得る知は本物になる。その知を踏み行えば、その成果は着実なものになる。結局これは、一本道を行き来しているにすぎない。
解説
『中庸』の「尊徳性(本性を高める)」と「道問学(学問を究める)」の関係を説いた一条です。朱子学ではこの二つを両輪としますが、一斎はさらに踏み込み、両者は別々の道ではなく「一本道の往来」にすぎないと言います。まず志や本心という「大なるもの」を立てれば、そこから得る知は本物になり(真)、その知を実践すれば成果は着実になる(実)。本性を高めることと学ぶことは、行きつ戻りつしながら一つの道を進むこと。人格を磨くことと知識を得ることを分けて考えがちな私たちに、両者は地続きだと示す一条です。
この章句が説くこと
尊徳性道問学一本道中庸
関連する章句
-
孟子・離婁章句下孟子曰、仲尼不為已甚者。
-
孟子・公孫丑章句上孟子曰、伯夷非其君不事。非其友不友。不立於惡人之朝。不與惡人言。立於惡人之朝,與惡人言、如以朝衣朝冠坐於塗炭。推惡惡之心、思與ᰰ人立、其冠不正、望望然去之、若將浼焉。是故諸侯雖有善其辭命而至者、不受也。不受也者、是亦不屑就已。柳下惠不羞汙君、不卑小官。進不隱賢、必以其道。遺佚而不怨、阨窮而不憫。故曰、爾為爾、我為我。雖袒裼裸裎於我側、爾焉能浼我哉。故由由然與之偕而不自失焉。援而止之而止。援而止之而止者、是亦不屑去已。孟子曰、伯夷隘、柳下惠不恭。隘與不恭、君子不由也。
-
論語 衛霊公篇子曰:過猶不及。
-
論語 季氏篇孔子曰:過猶不及。
-
論語 雍也篇子曰:中庸之為德,其至矣乎!民鮮久矣。
-
孟子・盡心章句上孟子曰、楊子取為我。拔一毛而利天下、不為也。墨子兼愛。摩頂放踵利天下為之。子莫執中。執中為近之、執中無權、猶執一也。所惡執一者、為其賊道也。舉一而廢百也。