顔氏家訓 / 書證
後漢書楊由傳云:「風吹削肺。」此是削札牘之柿耳。古者、書誤則削之、故左傳云「削而投之」是也。或即謂札爲削、王褒童約曰:「書削代牘。」蘇竟書云:「昔以摩硏編削之才。」皆其證也。詩云:「伐木滸滸。」毛傳云:「滸滸、柿貌也。」史家假借爲肝肺字、俗本因是悉作脯臘之脯、或爲反哺之哺。學士因解云:「削哺、是屛障之名。」旣無證據、亦爲妄矣!
新字:後漢書楊由伝云:「風吹削肺。」此是削札牘之柿耳。古者、書誤則削之、故左伝云「削而投之」是也。或即謂札為削、王褒童約曰:「書削代牘。」蘇竟書云:「昔以摩研編削之才。」皆其證也。詩云:「伐木滸滸。」毛伝云:「滸滸、柿貌也。」史家仮借為肝肺字、俗本因是悉作脯臘之脯、或為反哺之哺。学士因解云:「削哺、是屛障之名。」旣無證拠、亦為妄矣!
書き下し
後漢書の楊由伝に云う、「風吹きて削肺す」と。此れは是れ札牘を削るの柿なり。古者、書して誤れば則ち之を削る。故に左伝に「削りて之を投ず」と云うは是なり。或いは即ち札を謂いて削と為す。王褒の童約に曰く、「書削もて牘に代う」と。蘇竟の書に云う、「昔摩研編削の才を以てす」と。皆な其の証なり。詩に云う、「木を伐ること滸滸たり」と。毛伝に云う、「滸滸は、柿の貌なり」と。史家仮借して肝肺の字と為す。俗本因って是に悉く脯臘の脯に作り、或いは反哺の哺と為す。学士因って解して云う、「削哺は、是れ屏障の名なり」と。既に証拠無く、亦た妄と為すのみ。
現代語訳
『後漢書』楊由伝にいう。「風が吹いて削肺した」。これは木札を削ったときのくずのことである。昔は書き誤ると削り取った。だから『左伝』に「削って投げ捨てた」とあるのがそれである。あるいは木札そのものを「削」ということもある。王褒の「僮約」に「書削で牘の代わりとする」とある。蘇竟の手紙に「昔は磨き研ぎ編み削る才をもって」とある。どちらもその証拠である。『詩経』にいう。「木を伐る音が滸滸と響く」。毛伝にいう。「滸滸とは削りくずのさまである」。史家が仮借して肝肺の「肺」の字を当てた。世間の本ではそこからみな干し肉の「脯」と書き、あるいは反哺の「哺」とする。学者たちはそれで解釈して「削哺とは衝立の名である」という。まったく証拠がなく、これも憶測である。
解説
この章句が説くこと
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