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顔氏家訓 / 書證

河間邢芳語吾云:「賈誼傳云:『日中必(上彗下火)。』注:『(上彗下火)、暴也。』曾見人解云:『此是暴疾之意、正言日中不須臾、卒然便昃耳。』此釋爲當乎?」吾謂邢曰:「此語本出太公六韜、案字書、古者暴曬字與暴疾字相似、唯下少異、後人專輒加傍日耳。言日中時、必須曝曬、不爾者、失其時也。晉灼已有詳釋。」芳笑服而退。

新字:河間邢芳語吾云:「賈誼伝云:『日中必(上彗下火)。』注:『(上彗下火)、暴也。』曽見人解云:『此是暴疾之意、正言日中不須臾、卒然便昃耳。』此釈為当乎?」吾謂邢曰:「此語本出太公六韜、案字書、古者暴曬字与暴疾字相似、唯下少異、後人専輒加傍日耳。言日中時、必須曝曬、不爾者、失其時也。晉灼已有詳釈。」芳笑服而退。

書き下し

河間の邢芳、吾に語りて云う、「賈誼伝に云う、『日中には必ず熭す』と。注に、『熭は、暴なり』と。曾て人の解して云うを見る、『此れは是れ暴疾の意なり。正に日中は須臾ならず、卒然として便ち昃くを言うのみ』と。此の釈は当と為すか」と。吾邢に謂いて曰く、「此の語は本と太公の六韜に出づ。字書を案ずるに、古者、暴曬の字と暴疾の字とは相い似たり。唯だ下のみ少しく異なる。後人専輒に傍らに日を加うるのみ。日中の時、必ず須らく曝曬すべしと言う。爾らざれば、其の時を失うなり。晋灼已に詳釈有り」と。芳笑いて服して退けり。

現代語訳

河間の邢芳が私に言った。「『賈誼伝』にいう。『日中には必ず熭す』。注に『熭は暴である』とある。かつてある人が解釈して『これは急激という意味だ。日中はほんの一瞬で、たちまち傾いてしまうことを言っているのだ』と言うのを聞いた。この解釈は妥当だろうか」。私は邢に言った。「この語はもともと『太公六韜』から出ている。字書を調べると、昔は日に曝すという字と、急激という字が形が似ていた。ただ下の部分がわずかに違うだけである。後の人が勝手に偏に日を加えただけだ。日中の時には必ず日に曝して干すべきだ、という意味である。そうしなければ機会を失う。晋灼にすでに詳しい解釈がある」。邢芳は笑って納得し、退出した。

解説

書證篇の最後の段です。「日中必熭」を「日中はあっという間だ」と読むか、「日中には必ず干せ」と読むか。前者は無常を嘆く言葉になり、後者は好機を逃すなという実務の言葉になります。顔之推は字形の混同を指摘して後者を採ります。しかも出典が『六韜』——兵法書だと突き止めている。同じ一句が、解釈次第でまったく違う教えになる。この篇が四十七段にわたって字の正誤を追いかけてきた理由が、ここで分かります。一字の違いが、行動の指針を変えるからです。

この章句が説くこと

日中には必ず熭す暴曬の字と暴疾の字は相い似たり日中は必ず曝曬すべし一字と指針

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