塩鉄論 / 散不足篇
「古者、德行求福、故祭祀而寬。仁義求吉、故卜筮而希。今世俗寬於行而求於鬼、怠於禮而篤於祭、嫚親而貴勢、至妄而信日、聽訑言而幸得、出實物而享虛福。
新字:「古者、徳行求福、故祭祀而寛。仁義求吉、故卜筮而希。今世俗寛於行而求於鬼、怠於礼而篤於祭、嫚親而貴勢、至妄而信日、聴訑言而幸得、出実物而享虚福。
書き下し
古者、德行もて福を求む、故に祭祀して寬なり。仁義もて吉を求む、故に卜筮して希なり。今世俗は行いに寬にして鬼に求め、禮に怠りて祭に篤し、親を嫚りて勢を貴び、妄に至りて日を信ず、訑言を聽きて幸に得んとし、實物を出して虛福を享く。
現代語訳
昔は、徳ある行いによって福を求めた。だから祭祀は簡素だった。仁義によって吉を求めた。だから占いをすることは稀だった。いまの世の習いは、行いには甘くしておいて鬼神に求め、礼をおろそかにして祭りには熱心である。親をないがしろにして権勢を貴び、でたらめを重ねながら日の吉凶を信じ、大げさな言葉を聴いて幸運を当てにし、実物を差し出して実体のない福を受け取ろうとする。
解説
この篇でいちばん現代的な一段かもしれません。**行いに寛くして鬼に求め、礼に怠りて祭に篤し。**自分の行いは甘く済ませておいて、結果は祈って何とかしようとする。そして最後の一句が痛烈です。実物を差し出して、実体のない福を受け取る。占いや祈祷に限った話ではありません。手を動かして直すべきところを直さずに、儀式や願掛けや掛け声で埋めようとする形は、組織でもよく見かけます。
この章句が説くこと
行いに寛にして鬼に求む礼に怠りて祭に篤し実物を出して虚福を享く責任依存行い
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