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淮南子 / 精神訓

其生我也不強求已,其殺我也不強求止。欲生而不事,憎死而不辭,賤之而弗憎,貴之而弗喜,隨其天資而安之不極。吾生也有七尺之形,吾死也有一棺之土。吾生之比於有形之類,猶吾死之淪於無形之中也。然則吾生也物不以益眾,吾死也土不以加厚,吾又安知所喜憎利害其間者乎?夫造化者之攫援物也,譬猶陶人之埏埴也,其取之地而已為盆盎也,與其未離於地也無以異,其已成器而破碎漫瀾而複歸其故也,與其為盆盎亦無以異矣。夫臨江之鄉,居人汲水以浸其園,江水弗憎也;苦洿之家,決洿而注之江,洿水弗樂也。是故其在江也,無以異其浸園也;其在洿也,亦無以異其在江也。是故聖人因時以安其位,當世而樂其業。

新字:其生我也不強求已,其殺我也不強求止。欲生而不事,憎死而不辞,賤之而弗憎,貴之而弗喜,随其天資而安之不極。吾生也有七尺之形,吾死也有一棺之土。吾生之比於有形之類,猶吾死之淪於無形之中也。然則吾生也物不以益眾,吾死也土不以加厚,吾又安知所喜憎利害其間者乎?夫造化者之攫援物也,譬猶陶人之埏埴也,其取之地而已為盆盎也,与其未離於地也無以異,其已成器而破砕漫瀾而複帰其故也,与其為盆盎亦無以異矣。夫臨江之鄉,居人汲水以浸其園,江水弗憎也;苦洿之家,決洿而注之江,洿水弗楽也。是故其在江也,無以異其浸園也;其在洿也,亦無以異其在江也。是故聖人因時以安其位,当世而楽其業。

書き下し

其の我を生ずるや強いて已むるを求めず、其の我を殺すや強いて止むるを求めず。生を欲して事とせず、死を憎みて辭せず、之を賤しみて憎まず、之を貴びて喜ばず、其の天資に隨いて之に安んじて極めず。吾が生や七尺の形有り、吾が死や一棺の土有り。吾が生の有形の類に比するは、猶お吾が死の無形の中に淪むがごときなり。然らば則ち吾が生や物 以て眾きを益さず、吾が死や土 以て厚きを加えず。吾 又た安んぞ喜憎利害の其の間なる者を知らんや。夫れ造化なる者の物を攫援するや、譬えば猶お陶人の埴を埏るがごとし。其の之を地に取りて已に盆盎と為るも、其の未だ地を離れざるとに以て異なる無し。其の已に器と成りて破碎漫瀾して復た其の故に歸するも、其の盆盎為ると亦た以て異なる無し。夫れ江に臨むの鄉、居人 水を汲みて以て其の園に浸すも、江水 憎まざるなり。苦洿の家、洿を決して之を江に注ぐも、洿水 樂しまざるなり。是の故に其の江に在るや、以て其の園に浸すに異なる無く、其の洿に在るや、亦た以て其の江に在るに異なる無し。是の故に聖人は時に因りて以て其の位に安んじ、世に當たりて其の業を樂しむ。

現代語訳

自分が生まれることを無理に止めようとせず、自分が殺されることも無理に止めようとしない。生きたいと願ってもそれを仕事にせず、死を憎んでも避けようとせず、賤しめられても憎まず、貴ばれても喜ばず、生まれつきに従って安んじ、極端に走らない。私の生には七尺の体があり、私の死には一棺ぶんの土がある。私の生が形あるものの仲間であるのは、私の死が形のないものの中に沈むのと同じことだ。とすれば私が生きても物の数は増えず、私が死んでも土が厚くなるわけでもない。私にどうして、そのあいだの喜び憎み利害が分かろうか。造化が物をつかんで作るのは、たとえば陶工が粘土をこねるようなものだ。土から取ってすでに鉢や甕になっていても、まだ土を離れていなかったときと違いはない。すでに器になったものが割れ砕けてばらばらになり、もとに戻っても、鉢や甕であったときと違いはない。川べりの村で、住む人が水を汲んで自分の園に注いでも、川の水は憎まない。汚れた水たまりの家が、水を切って川に流し込んでも、水たまりの水は喜ばない。だから川にあることと園に注がれることに違いはなく、水たまりにあることと川にあることにも違いはない。だから聖人は時に応じてその位置に安んじ、その世にあって自分の仕事を楽しむ。

解説

陶工の喩えが分かりやすいところです。土が甕になっても、割れて土に戻っても、土であることに変わりはない。同じことを水で言い直します。川の水が畑へ引かれても川は憎まず、汚水が川へ流れ込んでも汚水は喜ばない。どこに置かれるかで中身は変わらない、と。だから結びが「聖人は時に因りて以て其の位に安んじ、世に當たりて其の業を樂しむ」になります。諦めではなく、置かれた場所で仕事を楽しむための理屈です。

この章句が説くこと

生を欲して事とせず死を憎みて辞せず之を賤しみて憎まず之を貴びて喜ばず造化なる者の物を攫援するや猶お陶人の埴を埏るがごとし江水憎まざるなり洿水楽しまざるなり聖人は時に因りて以て其の位に安んじ世に当たりて其の業を楽しむ境遇

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