呂氏春秋 / 愼勢②
凡冠帶之國,舟車之所通,不用象譯狄鞮,方三千里。古之王者,擇天下之中而立國,擇國之中而立宮,擇宮之中而立廟。天下之地,方千里以為國,所以極治任也。非不能大也,其大不若小,其多不若少。眾封建,非以私賢也,所以便勢全威,所以博義。義博利則無敵。無敵者安。故觀於上世,其封建眾者,其福長,其名彰。神農十七世有天下,與天下同之也。
新字:凡冠帯之国,舟車之所通,不用象訳狄鞮,方三千里。古之王者,択天下之中而立国,択国之中而立宮,択宮之中而立廟。天下之地,方千里以為国,所以極治任也。非不能大也,其大不若小,其多不若少。衆封建,非以私賢也,所以便勢全威,所以博義。義博利則無敵。無敵者安。故観於上世,其封建衆者,其福長,其名彰。神農十七世有天下,与天下同之也。
書き下し
凡そ冠帶の國、舟車の通ずる所、象譯狄鞮を用いざるは、方三千里なり。古の王者は、天下の中を擇びて國を立て、國の中を擇びて宮を立て、宮の中を擇びて廟を立つ。天下の地、方千里にして以て國と為す、治任を極むる所以なり。大なること能わざるに非ざるなり。其の大なるは小なるに若かず。其の多きは少きに若かざればなり。衆く封建するは、以て賢に私するに非ざるなり。勢を便にし威を全くする所以なり。義を博むる所以なり。義博まれば利は則ち敵無く、敵無き者は安し。故に上世を觀るに、其の封建衆き者は、其の福長じ、其の名彰る。神農の十七世天下を有ちしは、天下と之を同じくすればなり。
現代語訳
冠をかぶり帯を締める文明の国、舟や車の通じる範囲、南北西の異民族の通訳を必要としない地域は、四方三千里である。いにしえの王者は、天下の中央を選んで都を建て、都の中央を選んで宮を建て、宮の中央を選んで宗廟を建てた。天下の地のうち、四方千里を国とする。これは統治の任を果たすのにちょうどよいからである。大きくできないのではない。その大きいことは小さいことに及ばず、多いことは少ないことに及ばないからだ。多く諸侯を封建するのは、特定の賢者に私するためではない。勢いを都合よくし威光を全うするためであり、正義を広めるためである。正義が広まれば利益は敵なしとなり、敵なしの者は安泰である。だから昔の世を観察すると、諸侯を多く封建した者は、その福は長く続き、その名はあらわれ輝いた。神農が十七代にわたって天下を保ったのは、天下の人々とそれを分かち合ったからである。
解説
この章句が説くこと
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