列子 / 説符篇
燕人聞之、聚族相戒、曰:「遇盜、莫如上地之牛缺也!」皆受教。俄而其弟適秦、至關下、果遇盜、憶其兄之戒、因與盜力爭。既而不如、又追而以卑辭請物。盜怒曰:「吾活汝弘矣、而追吾不已、迹將箸焉。既爲盜矣、仁將焉在?」遂殺之、又傍害其黨四五人焉。
新字:燕人聞之、聚族相戒、曰:「遇盗、莫如上地之牛欠也!」皆受教。俄而其弟適秦、至関下、果遇盗、憶其兄之戒、因与盗力争。既而不如、又追而以卑辞請物。盗怒曰:「吾活汝弘矣、而追吾不已、迹将箸焉。既為盗矣、仁将焉在?」遂殺之、又傍害其党四五人焉。
書き下し
燕人之を聞き、族を聚めて相い戒めて曰く、盜に遇わば、上地の牛缺の如くする莫かれ、と。皆な教えを受く。俄かにして其の弟秦に適き、關下に至る。果たして盜に遇う。其の兄の戒めを憶い、因りて盜と力めて爭う。既にして如かず、又た追いて卑辭を以て物を請う。盜怒りて曰く、吾汝を活かすこと弘し。而るに吾を追うこと已まず。迹將に箸れんとす。既に盜と爲れり。仁將た焉くにか在らん、と。遂に之を殺し、又た傍らに其の黨四五人を害す。
現代語訳
燕の人がこの話を聞いて、一族を集めて互いに戒めた。「盗賊に出会ったら、上地の牛缺のようにしてはならない」。みなその教えを受けた。まもなくその弟が秦へ行き、関所の下に着いた。はたして盗賊に出会った。兄の戒めを思い出して、盗賊と力ずくで争った。かなわないと分かると、今度は追いかけて言葉を低くして物を返してくれと頼んだ。盗賊は怒って言った。「わしはお前を生かしてやった、それだけで大きな情けだ。それなのにわしを追いかけてやめない。足跡が残ってしまうではないか。すでに盗賊になった身だ。仁義などどこにあろう」。そして彼を殺し、そばにいた仲間四、五人も殺した。
解説
平然としていて殺されたのだから、平然としてはいけない。この教訓を守った弟は、抵抗し、次に懇願し、殺されました。しかも仲間四、五人まで巻き添えになった。教訓の作り方が間違っていたのです。牛缺が殺されたのは平然としていたからではなく、賢者だと分かったからでした。原因の取り違えが、より大きな被害を生んでいる。事故や失敗から教訓を作るとき、これは頻繁に起きます。表面の行動を禁止して、原因はそのまま残る。「二度と平然とするな」ではなく、「相手にとって自分がどう見えるかを考えろ」でなければならなかった。
この章句が説くこと
盗に遇わば上地の牛欠の如くする莫かれ盗と力めて争う既に盗と為れり仁将た焉くにか在らん
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『列子』説符篇牛缺なる者は、上地の大儒なり。邯鄲に下り、盜に耦沙の中に遇う。盡く其の衣裝車を取る。牛は步みて去る。之を視るに歡然として憂𠫤の色無し。盜追いて其の故を問う。曰く、君子は養う所を以て其の養う所を害せず、と。盜曰く、嘻、賢なるかな、と。既にして相い謂いて曰く、彼の賢を以て、往きて趙君に見え、我を以て爲さしめば、必ず我を困しめん。之を殺すに如かず、と。乃ち相い與に追いて之を殺す。
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呂氏春秋・必己③牛缺は上地に居る、大儒なり。下りて邯鄲に之き、盜に耦沙の中に遇う。盜、其の橐中の載を求むれば、則ち之に與え、其の車馬を求むれば、則ち之に與え、其の衣被を求むれば、則ち之に與う。牛缺出でて去る。盜相謂いて曰く、「此れ天下の顯人なり。今之を辱しむること此くの如し。此れ必ず我を萬乘の主に愬えん。萬乘の主必ず國を以て我を誅せん、我必ず生きじ。相與に追いて之を殺し、以て其の跡を滅するに若かず。」是に於て相與に之を趨い、行くこと三十里、及びて之を殺す。此れ知るを以ての故なり。孟賁、河を過ぎんとして、其の五に先だつ。船人怒りて、楫を以て其の頭を虓く。顧だ其の孟賁なるを知らざるなり。河に中ばして、孟賁目を瞋らして船人を視、髮植ち、目裂け、鬢指す。舟中の人盡く揚播して河に入る。船人をして其の孟賁なるを知らしめば、敢て直視せず、渉るに先だつ者無し。又況んや之を辱しむるに於いてをや。此れ知らざるを以ての故なり。知ると知らざるとは、皆恃むに足らず。其れ惟だ和調のみ之に近きも、猶ほ未だ必とす可らず。蓋し和調を辨ぜざる者有れば、則ち和調も免れざる有るなり。宋の桓司馬、寶珠を有し、罪に抵りて出亡す。王、人をして珠の在る所を問わしむ。曰く、「之を池中に投ず。」是に於て池を竭くして之を求むれども、得ること無く、魚死せり。此れ禍福の相及ぶを言うなり。紂は不善を商に為して、禍い天地に充つ。和調も何ぞ益せん。
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