韓非子 / 問辯第四十一
是以儒服、帶劒者衆,而耕戰之士寡;堅白、無厚之詞章,而憲令之法息。故曰:「上不明,則辯生焉。」
新字:是以儒服、帯劒者衆,而耕戦之士寡;堅白、無厚之詞章,而憲令之法息。故曰:「上不明,則弁生焉。」
書き下し
是を以て儒服・帯剣の者衆くして、耕戦の士寡し。堅白・無厚の詞章かにして、憲令の法息む。故に曰く、「上明ならざれば、則ち辯生ず。」
現代語訳
そういうわけで、儒者の服を着る者や剣を帯びる遊侠の者が多くなり、耕作し戦う士は少なくなる。「堅白」「無厚」といった詭弁の言葉がもてはやされ、国の法令は廃れる。だから「上が明らかでなければ、弁論が生じる」というのである。
解説
問辯篇の結びの一文です。君主が言論を功用で測らないために、儒者や遊侠が増えて農耕と戦争を担う民が減り、「堅白」「無厚」といった詭弁がもてはやされて法令が廃れる。だから「上が明らかでなければ弁論が生じる」のだと、冒頭の問いに答えを返して篇を閉じます。「堅白」は公孫龍の、「無厚」は鄧析ら名家の議論として知られる命題です。儒者と帯剣の者を並べるのは、五蠹篇で学者と遊侠を国を蝕む虫とした議論と同じ発想です。言葉の巧みさが評価される組織では、実務を担う人が報われず去っていく。成果を生む人より弁の立つ人が重んじられていないかを、振り返らせる一節です。
この章句が説くこと
弁論実行力儒成果主義耕戦評論家
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