韓非子 / 內儲說下六微第三十一
文公之時,宰臣上炙而髮繞之。文公召宰人而譙之曰:「女欲寡人之哽耶,奚爲以髮繞炙?」宰人頓首再拜請曰:「臣有死罪三:援礪砥刀,利猶干將也,切肉肉断而髪不斷,臣之罪一也;援木而貫臠而不見髪,臣之罪二也;奉熾爐,炭火盡赤紅,而炙熟而髪不燒,臣之罪三也。堂下得無微有疾臣者乎?」公曰:「善。」乃召其堂下而譙之,果然,乃誅之。
新字:文公之時,宰臣上炙而髪繞之。文公召宰人而譙之曰:「女欲寡人之哽耶,奚為以髪繞炙?」宰人頓首再拝請曰:「臣有死罪三:援礪砥刀,利猶干将也,切肉肉断而髪不断,臣之罪一也;援木而貫臠而不見髪,臣之罪二也;奉熾炉,炭火尽赤紅,而炙熟而髪不焼,臣之罪三也。堂下得無微有疾臣者乎?」公曰:「善。」乃召其堂下而譙之,果然,乃誅之。
書き下し
文公の時、宰臣炙を上る。而して髮之を繞る。...宰人頓首再拜して請いて、曰く、「...堂下に臣を疾む者有る微きを得んや。」公曰く、「善し。」乃ち其の堂下を召して之を譙む。果して然り。乃ち之を誅す。
現代語訳
文公の時代、料理人が焼き肉を献上したが、髪の毛が巻き付いていた。料理人は再拝して『堂下(厨房)に私を憎む者がいる兆しではないでしょうか』と願い出た。文公が『よろしい』と言って、厨房の者を召し出して問い詰めたところ、果たしてその通りであったので、その者を処刑した。
解説
文公の時代、料理人が焼いた肉を差し出したところ、髪の毛が一本巻き付いていました。普通ならその場で料理人を叱りつけて終わるところですが、料理人は「これは厨房の中に私を憎んでいる者がいる証ではないでしょうか」と申し出ました。文公がその言葉を受けて厨房の者たちを調べさせると、案の定、料理人を妬んでいた別の人物が仕組んだ嫌がらせだったのです。物事には必ず裏があり、目の前で起きた困った出来事(肉に髪が混じっていた)だけを見て、一番目立つ立場の人(料理人)を叱って済ませてしまうと、本当の原因を見逃してしまいます。家庭で子どものおもちゃが壊れていた時も、職場で書類が紛れ込んでいた時も同じです。「この出来事で誰が得をするか」「誰が不満を溜めていたか」まで踏み込んで考えて初めて、本当の問題にたどり着けるのです。
この章句が説くこと
有反根本原因分析RCA動機利害関係問題解決
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『韓非子』內儲說下六微第三十一一に曰く、晋の平公客を觴す、少庶子炙を進むるに髪之に繞る、平公趣かに炮人を殺さしめ、令に反すること有る毋からしむ。炮人天を呼びて曰く、「嗟乎、臣に三罪有り、死して自ら知らざるか。」平公曰く、「何の謂ぞや。」対へて曰く、「臣が刀の利きこと、風靡して骨断つも髪断たず、是れ臣の一死なり。桑炭もて之を炙り、肉紅白にして髪焦げず、是れ臣の二死なり。炙熟して、又睫を重ねて之を視るに、髪炙に繞りて目見ず、是れ臣の三死なり。意ふに堂下に其れ臣を翳憎する者有るか。臣を殺すこと亦蚤からずや。」穣侯秦に相として斉強し。穣侯秦を立てて帝と為さんと欲して斉聴かず、因りて斉を立てて東帝と為さんことを請ふ、而して成すこと能はざるなり。五。晋の献公の時、驪姫貴く、后妻に擬し、而して其の子奚斉を以て太子申生に代へんと欲し、因りて申生を君に患へて之を殺し、遂に奚斉を立てて太子と為す。鄭君已に太子を立つ、而して愛する所の美女有り其の子を以て後と為さんと欲す、夫人恐れ、因りて毒薬を用ひて君を賊して之を殺す。衛の州吁衛に重く、君に擬し、群臣百姓尽く其の勢重を畏る。州吁果して其の君を殺して之が政を奪ふ。公子朝は、周の太子なり、弟公子根甚だ君に寵有り。君死す、遂に東周を以て叛き、分れて両国と為る。楚の成王商臣を以て太子と為し、既にして又公子職を置かんと欲す。商臣乱を作し、遂に成王を攻殺す。一に曰く、楚の成王商臣を以て太子と為し、既にして公子職を置かんと欲す。商臣之を聞き、未だ察せざるなり、乃ち其の傅潘崇に謂ひて曰く、「奈何ぞ之を察せん。」潘崇曰く、「江羋を饗して敬する勿かれ。」太子之を聴く。江羋曰く、「呼、役夫。宜なるかな君王の女を廃して職を立てんと欲するや。」商臣曰く、「信なり。」潘崇曰く、「能く之に事へんか。」曰く、「能はず。」「能く之が諸侯と為らんか。」曰く、「能はず。」
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『韓非子』內儲說下六微第三十一左右に私かに善からざる者有り、乃ち之が為に王に請ひて曰く、「公子甚だ貧しく、馬甚だ痩す、王何ぞ之に馬食を益さざる。」王許さず。左右因りて微かに夜芻廐を焼かしむ。王以て賤公子と為すや、乃ち之を誅す。魏に老儒有りて済陽君に善からず。客に老儒と私怨有る者有り、因りて老儒を攻めて之を殺し、以て済陽君に徳として曰く、「臣其の君に善からざるが為なり、故に君の為に之を殺せり。」済陽君因りて察せずして之を賞す。一に曰く、済陽君に少庶子有り、知られずして君に愛を入れんと欲する者有り。斉老儒をして薬を馬梨の山に掘らしむ、済陽の少庶子以て功と為さんと欲し、入りて君に見えて曰く、「斉老儒をして薬を馬梨の山に掘らしむ、名は薬を掘るなるも、実は君の国を間するなり。君之を殺さずんば、是れ将に済陽君を以て罪を斉に抵さんとす。臣請ふ之を刺さん。」君曰く、「可なり。」是に於て明日之を城陰に得て之を刺す、済陽君還りて益ます之を親しむ。四。陳需は、魏王の臣なり、荊王に善し、而して荊をして魏を攻めしむ。荊魏を攻む、陳需因りて魏王の為に行きて之を解かんことを請ひ、因りて荊の勢を以て魏に相たり。韓の昭侯の時、黍種嘗て貴きこと甚し。昭侯人をして廩を覆さしむ、吏果して黍種を竊みて之を糶ること甚だ多し。昭奚恤の荊に用ひらるるや、倉廥窌を焼く者有りて其の人を知らず。昭奚恤吏をして茅を販ぐ者を執へて之を問はしむ、果して焼けり。昭僖侯の時、宰人食を上るに羹中に生肝有り、昭侯宰人の次を召して之を誚めて曰く、「若何為れぞ生肝を寡人の羹中に置く。」宰人頓首して死罪に服して曰く、「竊かに尚宰人を去らんと欲するなり。」一に曰く、僖侯浴す、湯中に礫有り。僖侯曰く、「尚浴免ぜらるれば、則ち当に代るべき者有るか。」左右対へて曰く、「有り。」僖侯曰く、「召して来れ。」之を譙めて曰く、「何為れぞ礫を湯中に置く。」対へて曰く、「尚浴免ぜらるれば、則ち臣之に代るを得ん、是を以て礫を湯中に置く。」
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『韓非子』內儲說下六微第三十一其の説は老聃の魚を失ふを言ふに在り。是を以て人主久しく語りて、左右懐刷を鬻ぐ。其の患は胥僮の厲公を諫むると、州侯の一言と、燕人の矢に浴するとに在り。権借一。君臣の利異なる、故に人臣忠なる莫し、故に臣の利立ちて主の利滅ぶ。是を以て姦臣は、敵兵を召きて以て内除し、外事を挙げて以て主を眩まし、苟も其の私利を成さば、国の患を顧みず。其の説は衛人の妻夫の禱祝に在り。故に戴歇子弟を議して、三桓昭公を攻む。公叔斉軍を内れて、翟黄韓兵を召く。太宰嚭大夫種に説き、大成牛申不害に教ふ。司馬喜趙王に告げ、呂倉秦・楚を規る。宋石衛君に書を遣り、白圭暴譴に教ふ。利異二。似類の事は、人主の誅を失ふ所以にして、大臣の私を成す所以なり。是を以て門人水を捐てて夷射誅せられ、済陽自ら矯めて二人罪せられ、司馬喜爰騫を殺して季辛誅せられ、鄭袖悪臭を言ひて新人劓られ、費無忌郄宛に教へて令尹誅し、陳需張寿を殺して犀首走る。故に芻廥を焼きて中山罪し、老儒を殺して済陽賞す。似類三。事起りて利する所有れば、其の尸之を主る。害する所有れば、必ず反して之を察す。是を以て明主の論や、国害あれば則ち其の利する者を省み、臣害あれば則ち其の反する者を察す。其の説は楚兵至りて陳需相たり、黍種貴くして廩吏覆さるるに在り。是を以て昭奚恤販茅を執へて、僖侯其の次を譙む。文公髪炙に繞りて、穣侯帝を立てんことを請ふ。有反四。参疑の勢は、乱の由りて生ずる所なり、故に明主之を慎む。
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『墨子』非命下是の故に子墨子曰く、今、天下の君子の文章を為り言談を出だすは、将に其の頰舌を勤勞し、其の唇呡を利せんとするに非ざるなり。中に實に将に其の國家邑里萬民の刑政を為さんと欲する者なり。今や王公大人の早く朝し晏く退き、獄を聴き政を治め、終朝、均しく分かちて敢えて怠倦せざる所以の者は、何ぞや。曰く、彼れ以為えらく强ければ必ず治まり、强からざれば必ず亂れ、强ければ必ず寕く、强からざれば必ず危うしと。故に敢えて怠倦せず。
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司馬法・嚴位凡そ人は、愛に死し、怒りに死し、威に死し、義に死し、利に死す。
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『墨子』兼愛下且つ惟だ泰誓のみ然りと為すにあらず、禹誓と雖も即ち亦た猶お是のごときなり。禹曰く、「濟濟たる有衆、咸な朕が言を聴け。惟だ小子のみ敢えて亂を稱するを行うに非ず。蠢たる茲の有苗、天の罰を用う。若し予れ既に爾の羣を率い、羣諸に對して以て有苗を征せん」と。禹の有苗を征するや、富貴を重ね、福禄を干め、耳目を樂しましむるを求むるに非ざるなり。以て天下の利を興し、天下の害を除かんことを求むるなり。即ち此れ禹の兼なり。子墨子の謂う所の兼なる者と雖も、禹に於て求めたり。
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