韓非子 / 功名第二十八
若水之流,若船之浮。守自然之道,行毋窮之令,故曰明主。夫有材而無勢,雖賢不能制不肖。故立尺材於高山之上,則臨千仞之谿,材非長也,位高也。
書き下し
夫れ材有りて勢無ければ、賢と雖も不肖を制すること能わず。故に尺材を高山の上に立つれば、則ち千仞の谿に臨む、材長きに非ざるなり、位高ければなり。
現代語訳
才能(材)があっても権限(勢)がなければ、賢い人であっても愚かな人を制することはできない。だから(小さな)一尺の材木でも高い山の上に置けば、千仞の谷を見下ろせる。材木が長いからではなく、その置かれた位置(位)が高いからである。
解説
どれほど優れた才能を持っていても、それを発揮できるだけの立場や後ろ盾がなければ、賢い人であっても愚かな人を抑えて導くことはできません。だからこそ、たった一尺ほどの短い木の棒でも、高い山の上に立てれば、はるか下の深い谷底までも見下ろすことができるのです。これは棒そのものが長くなったからではなく、置かれている場所が高いからにほかなりません。人も同じで、実力そのものと同じくらい、どんな立場に置かれているかが物を言います。町内会の会長や子供会の世話役のような、日頃はごく普通の人であっても、その役目に就いたとたん、皆が話に耳を傾けるようになります。実力を磨く努力はもちろん必要ですが、その実力を活かせる立場に身を置くこと、あるいは与えられた立場を軽んじないことも、同じくらい大切なのです。
この章句が説くこと
ポジションパワー権限移譲リーダーシップ才能と権限レバレッジ
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