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葉隠 / 聞書第一

大事の狀、手紙、書附等持ち届け候節、道すがらも手に握りて片時も離さず、向ふ樣にて直ぐに相渡すものにて候由。

新字:大事の状、手紙、書附等持ち届け候節、道すがらも手に握りて片時も離さず、向ふ様にて直ぐに相渡すものにて候由。

書き下し

大事の状(じょう)、手紙、書附(かきつけ)など持ち届け候節(せつ)、道すがらも手に握りて片時も離さず、向う様(さま)にて直(す)ぐに相渡すものにて候よし。

現代語訳

大事な書状・手紙・書きつけなどを持って届けるときは、道中もずっと手に握って片時も離さず、先方に着いたらすぐに手渡すものだそうだ。

解説

大切な書状の届け方についての、ごく短い実務的な心得です。道中も懐や荷にしまい込まず手に握って離さず、着いたら真っ先に手渡せ、というのです。一見些細ですが、重要なものは肌身離さず持ち、余計な寄り道や後回しをせず最優先で果たす、という姿勢の表れです。『葉隠』には大事の手紙は「掛物になると思って書け」と説く条もあり、書状を軽んじない態度が一貫しています。現代でいえば、機密書類や重要データの取り扱い、あるいは最優先の用件をわき目もふらず確実に届けきる責任感に置き換えられるでしょう。小さな所作にこそ信頼が宿るという教えです。

この章句が説くこと

責任感確実な遂行最優先で果たす信頼細部への注意大事を軽んじない

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