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長短経 / 七雄略

虎賁之士百有餘萬、車千乗、騎萬匹、粟如丘山。法令既明、士卒安樂。主明以嚴、將智以武。雖無出甲、席卷常山之險、必折天下之脊、天下後服者先亡矣!且夫為縱者、無以異驅羣羊而攻猛虎。虎之與羊、不格明矣!今王不與虎而與羣羊、臣竊以為大王之計過也凡天下强國、非秦而楚、非楚而秦。兩國交爭、其勢不兩立。大王不與秦、秦下甲據宜陽、韓之上地不通、下兵河東、成臯、韓必入臣。則梁亦從風而動。秦攻楚之西、韓攻其北、社稷安得無危?臣聞、『兵不如者、勿與挑戰、粟不如者、勿與持久。』

新字:虎賁之士百有余万、車千乗、騎万匹、粟如丘山。法令既明、士卒安楽。主明以厳、将智以武。雖無出甲、席巻常山之険、必折天下之脊、天下後服者先亡矣!且夫為縦者、無以異駆羣羊而攻猛虎。虎之与羊、不格明矣!今王不与虎而与羣羊、臣窃以為大王之計過也凡天下強国、非秦而楚、非楚而秦。両国交争、其勢不両立。大王不与秦、秦下甲拠宜陽、韓之上地不通、下兵河東、成皋、韓必入臣。則梁亦従風而動。秦攻楚之西、韓攻其北、社稷安得無危?臣聞、『兵不如者、勿与挑戦、粟不如者、勿与持久。』

書き下し

虎賁の士、百有余万、車千乗、騎万匹、粟は丘山の如し。法令既に明らかにして、士卒安楽す。主は明にして以て厳、将は智にして以て武なり。甲を出だす無しと雖も、常山の険を席巻し、必ず天下の脊を折らん。天下の後に服する者は先ず亡びん。且つ夫れ縦を為す者は、以て群羊を駆りて猛虎を攻むるに異なる無し。虎と羊と、格せざること明らかなり。今、王、虎と与にせずして群羊と与にす。臣、竊かに以為えらく大王の計、過てり。凡そ天下の強国は、秦に非ずんば楚、楚に非ずんば秦なり。両国交々争い、其の勢い両立せず。大王、秦と与にせずんば、秦、甲を下して宜陽に拠らば、韓の上地通ぜず。兵を河東・成皋に下さば、韓、必ず入りて臣たらん。則ち梁も亦た風に従いて動かん。秦、楚の西を攻め、韓、其の北を攻めば、社稷、安くんぞ危うき無きを得んや。臣聞く『兵、如かざる者は、与に挑戦する勿かれ。粟、如かざる者は、与に持久する勿かれ』と。

現代語訳

勇猛な兵が百万余り、戦車千台、騎馬一万、穀物は山のようにある。法令は明らかで、兵は安んじている。主君は明察で厳しく、将は智があって武に優れている。兵を出さなくても、常山の険を席巻し、必ず天下の背骨を折るだろう。天下で後から服する者が先に滅びる。それに縦の連合を作るのは、羊の群れを駆って猛虎を攻めるのと変わらない。虎と羊が張り合えないのは明らかである。いま王は虎と組まずに羊の群れと組んでいる。ひそかに大王の計は誤っていると思う。天下の強国は、秦でなければ楚、楚でなければ秦である。二国が争えば、両立しない形勢である。大王が秦と組まなければ、秦は兵を下して宜陽を押さえ、韓の上の地への道が通じなくなる。兵を河東と成皋に下せば、韓は必ず臣従する。そうなれば梁も風になびいて動く。秦が楚の西を攻め、韓が北を攻めれば、国家が危うくならずにいられようか。私が聞くところでは『兵が及ばない相手には挑むな。穀物が及ばない相手とは持久戦をするな』といいます。

解説

羊の群れで虎を攻めるようなものだ。合従を一言で切り捨てます。蘇秦が同じ六国を、力を合わせれば秦の十倍だと数えたのと正反対です。数えるか、質で切るか。そして兵が及ばない相手には挑むな、穀物が及ばない相手とは持久戦をするな。どちらも相手の土俵を避けよという原則で、退く判断の基準になります。同じ数字を、合計と見るか個別の弱さと見るかで結論が変わります。

この章句が説くこと

七雄略張儀楚懐王群羊猛虎連衡土俵

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