呂氏春秋 / 應言④
路說謂周頗曰:「公不愛趙,天下必從。」周頗曰:「固欲天下之從也。天下從則秦利也。」路說應之曰:「然則公欲秦之利夫?」周頗曰:「欲之。」路說曰:「公欲之,則胡不為從矣?」
新字:路説謂周頗曰:「公不愛趙,天下必従。」周頗曰:「固欲天下之従也。天下従則秦利也。」路説応之曰:「然則公欲秦之利夫?」周頗曰:「欲之。」路説曰:「公欲之,則胡不為従矣?」
書き下し
路說、周頗に謂いて曰く、「公、趙を愛せざれば、天下必ず從せん。」周頗曰く、「固より天下の從せんことを欲するなり。天下從するは則ち秦の利なり。」路說、之に應えて曰く、「然らば則ち公は秦の利を欲するか。」周頗曰く、「之を欲す。」路說曰く、「公、之を欲せば則ち胡ぞ從を爲さざる。」
現代語訳
路説が周頗に言った、「あなたが趙を惜しまなければ、天下は必ず合従するでしょう。」周頗は言った、「もとより天下が合従するのを望んでいる。だが天下が合従すれば秦の利益になる。」路説はこれに応えて言った、「では、あなたは秦の利益を望むのですか。」周頗は「望む」と言った。路説は言った、「あなたがそれを望むなら、なぜ合従を進めないのですか。」
解説
この段は、路説が周頗と合従策をめぐって問答する短い話です。周頗は合従を望むと言いながら、それが秦の利になると渋りますが、では秦の利を望むのかと問われて望むと答え、ならばなぜ合従しないのかと矛盾を突かれます。要点は、発言の断片をつなぐと本人の主張が自己矛盾に陥ることがあるということです。言葉の応酬で相手の論理の破綻を明らかにする応言篇の主題が背景にあります。合従連衡が激しく論じられた戦国外交の実情も垣間見えます。現代でも、その場しのぎの受け答えを重ねると、発言全体としてつじつまが合わなくなります。一貫した立場を持って語ることの重要性を、簡潔な問答で教える一段です。
この章句が説くこと
路説周頗合従秦論理矛盾外交
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