韓非子 / 說林下二十三
惠子曰:「置猿於柙中,則與豚同。」故勢不便,非所以逞能也。
新字:恵子曰:「置猿於柙中,則与豚同。」故勢不便,非所以逞能也。
書き下し
猿も柙中に置けば、則ち豚と同じ。故に勢い便ならざるは、能を逞しくする所以に非ざるなり。
現代語訳
猿も(窮屈な)檻の中に入れてしまえば、豚と(何も)変わらない。つまり、環境(勢い)が不便では、その能力を発揮することはできない。
解説
猿でさえ、狭い檻の中に閉じ込めてしまえば、豚と何も変わらなくなってしまいます。つまり、置かれた場や巡り合わせ(勢い)が窮屈で不自由なら、どれほどの能力があっても発揮しようがない、ということです。細かい決まりや堅苦しいしきたりでがんじがらめにされれば、どんなに優れた人でも力を出せず、平凡な人と変わらなく見えてしまいます。これは職場に限らず、家庭でも子供の習い事でも同じです。子供の自由な発想を細かい決まりで縛りすぎれば、才能の芽は伸びません。人の上に立つ人の本当の役目は、才能そのものを見極めることだけでなく、その人が力を存分に発揮できる、伸び伸びとした場を用意してあげることなのです。
この章句が説くこと
環境が人を創る組織風土官僚主義パフォーマンス制度設計
関連する章句
-
『韓非子』解老第二十禮繁き者は實心衰うるなり。...夫れ禮は、忠信の薄きにして、亂の首か。
-
説苑・政理景差、鄭に相たり。鄭人に冬水を渉る者有り、出でて脛寒し。後に景差之を過り、陪乗を下して之を載せ、覆うに上衽を以てす。晋の叔向之を聞きて曰く、「景子人国の相為るや、豈に固ならずや。吾聞く、良吏之に居りて三月にして溝渠修まり、十月にして津梁成る、六畜すら且つ足を濡らさず、而るを況んや人をや。」
-
尉繚子・制談凡そ兵制は必ず先ず制を定む、先ず定まれば則ち士亂れず、士亂れざれば則ち刑乃ち明らかなり。
-
三略・中略故に聖王の世を御するや、盛衰を観、得失を度りて、之が制を為す。故に諸侯は二師、方伯は三師、天子は六師なり。世乱るれば則ち叛逆生じ、王沢竭くれば則ち盟誓相ひ誅伐す。
-
説苑・貴德桓公平陵に之き、家人の年老いて自ら養ふ有るを見る、公其の故を問ふ、対へて曰く、「吾に子九人有るも、家貧しくして以て之に妻あはすること無く、吾傭せしめて未だ返らざるなり」と。桓公外御の者五人を取りて之に妻あはす、管仲入りて見えて曰く、「公の恵を施すこと亦た小なるかな」と。公曰く、「何ぞや」と。対へて曰く、「公見る所を待ちて恵を施せば、則ち斉国の妻有る者少なからん」と。公曰く、「若何せん」と。管仲曰く、「国の丈夫をして三十にして室せしめ、女子をして十五にして嫁せしめよ」と。
-
論語・衛霊公篇顔淵、邦を為むるを問う。子曰く、「夏の時を行い、殷の輅に乗り、周の冕を服し、楽は則ち韶舞。鄭声を放ち、佞人を遠ざく。鄭声は淫にして、佞人は殆し。」