呂氏春秋 / 淫辭⑤
人有任臣不亡者,臣亡,莊伯決之,任者無罪。
新字:人有任臣不亡者,臣亡,荘伯決之,任者無罪。
書き下し
人に臣の亡せざるを任ずる者有り。臣亡す。莊伯之を決し、任ずる者罪無し。
現代語訳
ある人に対して、召使いが逃亡しないことを保証した者がいた。ところがその召使いは逃亡した。荘伯がこれを裁いて、保証した者に罪はないとした。
解説
この極めて短い段は、召使いが逃げないと保証した者について、いざ逃げても保証人に罪はないと荘伯が裁いた話です。前段に続いて荘伯にまつわる逸話で、言葉による保証や約束が実際の結果と結びつかない事例を示します。要点は、言葉の上での請け合いが、必ずしも実質的な責任を伴わないまま処理されてしまうことへの問題提起です。言と実の食い違いを扱う淫辞篇の文脈に置かれた背景があります。現代でも、保証や確約の言葉が、結果責任を問われないまま形骸化する場面はあります。安易な請け合いと、それが果たされなかったときの責任のあり方を考えさせる、簡潔ながら示唆に富む一段です。
この章句が説くこと
荘伯保証責任言実裁定約束
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