孫子 / 九地篇
諸侯之地三屬,先至而得天下之衆者,為衢地;
新字:諸侯之地三属,先至而得天下之衆者,為衢地;
書き下し
諸侯の地三属し、先に至りて天下の衆を得る者を、衢地と為す。
現代語訳
諸侯の領地が三方に接し、先に到達すれば天下の支持を得られる場所を、衢地という。
解説
第五の地。複数の勢力が接する交差点である。特徴は、先に到達した者が周囲の支持ごと手に入れるという点にある。価値が場所そのものではなく、そこを押さえたときに動く人の数にある。標準規格やプラットフォームの位置取りが、現代の衢地だろう。技術そのものより、誰が最初にそこを押さえたかで勢力が決まる。しかも先着者総取りに近い性質を持つ。孫子は衢地では結ぶと言う。攻めるのでも守るのでもなく、周囲と関係を結ぶ。交差点を押さえるとは、通る者すべてと関係を作ることだからだ。自分だけで固めても意味がない。事業でも、この位置に立ったときにやるべきは支配ではなく、関係の網を張ることである。
この章句が説くこと
衢地交差点要衝交通先着関係
関連する章句
-
史記 三王世家謹んで其の真草の詔書を論次し、左方に編む。覧る者をして自ら其の意に通じて之を解説せしむ。王夫人は、趙の人なり、衛夫人と并びに武帝に幸せられ、而して子閎を生む。閎且に立ちて王と為らんとする時、其の母病む、武帝自ら臨みて之を問ふ。曰く、「子当に王と為るべし、安くに之を置かんと欲する」と。王夫人曰く、「陛下在り、妾又何等の言ふべき者あらん」と。帝曰く、「然りと雖も、意の欲する所、何れの所に於いて之を王とせんと欲する」と。王夫人曰く、「願はくは之を雒陽に置かん」と。武帝曰く、「雒陽は武庫敖倉有り、天下の衝阸にして、漢国の大都なり。先帝以来、子の雒陽に王たる者無し。雒陽を去りては、余は尽く可なり」と。王夫人応へず。武帝曰く、「関東の国は斉より大なる者無し。斉は東のかた海を負ひて城郭大なり、古時独り臨菑の中十万戸、天下の膏腴の地斉より盛んなる者莫し」と。王夫人手を以て頭を撃ち、謝して曰く、「幸甚なり」と。王夫人死して帝之を痛み、使者をして之を拝せしめて曰く、「皇帝謹んで使をして太中大夫明をして璧一を奉じ、夫人に賜ひて斉王の太后と為さしむ」と。子閎斉に王たり、年少くして、子有る無く、立ちて、不幸にして早く死し、国絶え、郡と為る。天下斉は王たるに宜しからずと称すと云ふ。所謂「此の土を受けよ」とは、諸侯王の始めて封ぜらるる者は必ず土を天子の社に受け、帰りて之を立てて以て国社と為し、歳時を以て之を祠る。春秋大伝に曰く、「天子の国に泰社有り。東方は青、南方は赤、西方は白、北方は黒、上方は黄」と。故に将に東方に封ぜられんとする者は青土を取り、南方に封ぜらるる者は赤土を取り、西方に封ぜらるる者は白土を取り、北方に封ぜらるる者は黒土を取り、上方に封ぜらるる者は黄土を取る。各々其の色の物を取り、裹むに白茅を以てし、封じて以て社と為す。此れ始めて封を天子より受くる者なり。此れを之れ主土と為す。主土とは、社を立てて之を奉ずるなり。
-
説苑・說叢一圍の木、千鈞の屋を持し、五寸の鍵にして開闔を制す。豈に材の任に足るならんや。蓋し居る所要なればなり。
-
『長短経』地形我得れば則ち利あり、彼得るも亦た利ある者を、争地と為す〔少を以て衆に勝ち、弱を以て強に勝つべし。山水の阨口、険固の利有りて、両敵の争う所を謂う。故に経に曰く、争地は、吾将に其の後に趣かんとす、と〕。我以て往くべく、彼以て来たるべきを、交地と為す〔道上相交錯し、平地に数道有りて、往来交通し、絶つべき無きなり。故に経に曰く、交地は、吾将に其の結を固めんとす、と〕。諸侯の地三属し〔我と敵と相対して、旁に他国有るなり〕、先に至りて天下の衆を得る者を、衢地と為す〔先に其の地に至らば、諸侯の衆を交結して助けと為すべきなり。故に経に曰く、衢地は、吾将に其の守りを謹まんとす、と〕。
-
『論語と算盤』実業と士道・天然の抵抗を征服せよ世界文明の進歩に伴い、人智をもって天然の抵抗を征服し、海にも陸にも種々交通の便利を加えて、その距離を短縮することは実に驚くばかりである。往昔支那においては天円地方と称して、我々の住むこの大地を方形のものと思惟せしのみならず、自国以外にはほとんど他国の存在を認めなかったのである。我が国とても当初はかかる偏狭なる見解によりて誘導啓発せられたのであるから、たまたま日本以外の国といえば、直ちに唐天竺を聯想するのみであって、さらに世界の何物たるを知らなかったのである。されば五大州の存在などいうことに至りては、夢想だも及ばなかったのである。現に余の幼時に聞ける童話中にも、その左右の翼を拡げるときは長さ三千里にも達するという大鵬でさえも、なおかつ世界の涯際を見ることができないのであると説いたほどであった。
-
『論語と算盤』実業と士道・天然の抵抗を征服せよその後(千八百六十九年十一月)該運河が開通して、諸国の艦船が通航を許さるるや、欧亜の交通に一生面を開き、両者間の貿易に、航海に、軍事に、外交に一大変革を来したのである。これと同時に各国艦船は、爾来ますますその形態を大にしてその速力を加えたから、大西洋は言をまたず、太平洋の面積もまたようやく減縮せられた事さえあるに、さらに進んでシベリア横断鉄道が竣工したので、欧亜の交通、東西の聯絡上に一新紀元を開き、四海比隣の実がようやくにして挙がらんとしている。
-
文子・上德老子曰く、鼓は声を蔵せず、故に能く声有り。鏡は形を没せず、故に能く形有り。金石に声有るも、動かざれば鳴らず、管簫に音有るも、吹かざれば声無し。是を以て聖人は内に蔵し、物の為に唱えず、事来りて制し、物至りて応ず。天行くこと已まず、終わりて復た始まる。故に能く長久なり。輪の其の転ずる所に復るや、故に能く遠きに致る。天行くこと一も差わず、故に過ち無し。天気下り、地気上り、陰陽交通し、万物斉同し、君子事を用い、小人消亡するは、天地の道なり。天気下らず、地気上らず、陰陽通ぜず、万物昌えず、小人勢いを得、君子消亡し、五穀植らず、道徳内に蔵まる。天の道は、盈を損じて寡を益し、地の道は、高きを損じて下きを益し、鬼神の道は、驕溢を下に与え、人の道は、多き者は与えず、聖人の道は、卑くして能く上る莫きなり。天明らかなれば日明らかにして、而る後に能く四方を照らす。君明らかなれば臣明らかにして、域中乃ち安らかなり。四明有れば、乃ち能く長久なり。其の施すを明らかにする者は、其の化を明らかにするなり。天道は丈と為し、地道は理と為し、一は之が和を為し、時は之が使を為し、以て万物を成す。之を命けて道と曰う。大道は坦坦として、身を去ること遠からず。之を身に修むれば、其の徳乃ち真なり。之を物に修むれば、其の徳絶えず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る