荘子 / 列禦寇
莊子將死,弟子欲厚葬之。莊子曰:「吾以天地為棺槨,以日月為連璧,星辰為珠璣,萬物為齎送。吾葬具豈不備邪?何以加此!」弟子曰:「吾恐烏鳶之食夫子也。」莊子曰:「在上為烏鳶食,在下為螻蟻食,奪彼與此,何其偏也!」
新字:荘子将死,弟子欲厚葬之。荘子曰:「吾以天地為棺槨,以日月為連璧,星辰為珠璣,万物為齎送。吾葬具豈不備邪?何以加此!」弟子曰:「吾恐烏鳶之食夫子也。」荘子曰:「在上為烏鳶食,在下為螻蟻食,奪彼与此,何其偏也!」
書き下し
荘子将に死せんとす。弟子厚く之を葬らんと欲す。荘子曰く、「吾は天地を以て棺槨(かんかく)と為し、日月を以て連璧(れんぺき)と為し、星辰を以て珠璣(しゅき)と為し、万物を以て齎送(せいそう)と為す。吾が葬具は豈に備わらざらんや。何を以て此に加えんや」と。弟子曰く、「吾は烏鳶(うえん)の夫子を食らわんことを恐る」と。荘子曰く、「上に在りては烏鳶の食と為り、下に在りては螻蟻(ろうぎ)の食と為る。彼を奪いて此に与う。何ぞ其れ偏なるや」と。
現代語訳
荘子が死のうとしていた。弟子たちは手厚く葬ろうとした。荘子は言った。「私は天地を棺とし、日月を並べた玉とし、星々を珠とし、万物を副葬品とする。私の葬具は、これ以上ないほど揃っているではないか。どうしてこれ以上、何かを加える必要があろうか」。弟子は言った。「先生が、カラスやトビに食われてしまうのが心配なのです」。荘子は言った。「地上に置けばカラスやトビの餌になり、地中に埋めれば螻蛄や蟻の餌になる。あちらから奪って、こちらに与えるだけだ。なんと偏ったことか」。
解説
荘子の臨終の場面です。「天地を棺とし、日月を玉とし、星々を珠とする」。これ以上の葬具はない、と。そして弟子が「カラスに食われます」と心配すると、返す言葉が見事です。「地上ならカラス、地中なら蟻に食われる。あちらから奪ってこちらに与えるだけだ。なんと偏ったことか」。埋めることは、カラスから蟻へ、食べ物を移し替えているだけ。どちらかをひいきする理由がありません。最後まで、彼は彼のままでした。