荘子 / 列禦寇
正考父一命而傴,再命而僂,三命而俯,循牆而走,孰敢不軌!如而夫者,一命而呂鉅,再命而於車上舞,三命而名諸父,孰協唐、許!
書き下し
正考父(せいこうほ)は一命にして傴(く)し、再命にして僂(ろう)し、三命にして俯(ふ)す。牆(かき)に循(そ)いて走る。孰(たれ)か敢えて軌(のっと)らざらん。如(も)し而(かく)の若き夫(ふ)は、一命にして呂鉅(りょきょ)し、再命にして車上に舞い、三命にして諸父を名づく。孰か唐・許に協(かな)わん。
現代語訳
正考父は、一度目の任命で腰をかがめ、二度目の任命で背を丸め、三度目の任命で身をかがめた。塀に沿ってこそこそと歩いた。誰が彼を手本としないだろうか。ところが今の者はどうか。一度目の任命で威張り散らし、二度目の任命で車の上で舞い、三度目の任命では叔父たちを呼び捨てにする。誰が堯や許由に及ぶだろうか。
解説
昇進するたびに、腰が低くなっていく人。昇進するたびに、威張り散らす人。この対比が鮮やかな一段です。正考父は、三度目の任命では身をかがめ、塀に沿ってこそこそ歩いた。地位が上がるほど、小さくなっていく。一方、今の人は、一度の任命で威張り、三度目には叔父を呼び捨てにする。地位が上がるほど、大きくなっていく。どちらが手本になるかは、明らかです。