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荘子 / 列禦寇

孔子曰:「凡人心險於山川,難於知天。天猶有春秋冬夏旦暮之期,人者厚貌深情。故有貌愿而益,有長若不肖,有順懁而達,有堅而縵,有緩而釬。故其就義若渴者,其去義若熱。故君子遠使之而觀其忠,近使之而觀其敬,煩使之而觀其能,卒然問焉而觀其知,急與之期而觀其信,委之以財而觀其仁,告之以危而觀其節,醉之以酒而觀其側,雜之以處而觀其色。九徵至,不肖人得矣。

新字:孔子曰:「凡人心険於山川,難於知天。天猶有春秋冬夏旦暮之期,人者厚貌深情。故有貌愿而益,有長若不肖,有順懁而達,有堅而縵,有緩而釬。故其就義若渴者,其去義若熱。故君子遠使之而観其忠,近使之而観其敬,煩使之而観其能,卒然問焉而観其知,急与之期而観其信,委之以財而観其仁,告之以危而観其節,酔之以酒而観其側,雑之以処而観其色。九徴至,不肖人得矣。

書き下し

孔子曰く、「凡そ人の心は山川より険しく、天を知るより難し。天は猶お春秋冬夏旦暮の期有り。人なる者は貌(かたち)厚く情深し。故に貌は愿(げん)にして益(おご)る有り、長(ちょう)にして不肖の若き有り、順懁(じゅんけん)にして達する有り、堅にして縵(かん)なる有り、緩にして釬(かん)なる有り。故に其の義に就くこと渇する者の若き者は、其の義を去ること熱きが若し。故に君子は遠く之を使いして其の忠を観、近く之を使いして其の敬を観、煩わしく之を使いして其の能を観、卒然として焉(これ)に問いて其の知を観、急に之と期して其の信を観、之に委ぬるに財を以てして其の仁を観、之に告ぐるに危を以てして其の節を観、之を酔わしむるに酒を以てして其の側(かたむき)を観、之を雑(まじ)うるに処を以てして其の色を観る。九徴至れば、不肖の人得らるるなり」と。

現代語訳

孔子は言った。「人の心は、山や川よりも険しく、天を知るよりも難しい。天にはまだ、春夏秋冬や朝夕の定めがある。だが人は、外見は分厚く、内情は深い。だから、見た目は誠実そうでいて内心は驕っている者がいる。優れているようでいて出来が悪い者がいる。従順そうでいて実は物事に通じている者がいる。堅そうでいて緩い者がいる。緩そうでいて頑固な者がいる。だから、渇いた者のように義に飛びつく者は、熱いものを離すように義を捨てる。だから君子は、遠くへ使いにやって忠実さを見る。近くで使って敬意を見る。煩雑な仕事をさせて能力を見る。不意に質問して知恵を見る。急な期限を与えて信義を見る。財を預けて仁を見る。危機を告げて節操を見る。酒に酔わせて偏りを見る。男女混じった場に置いて色を見る。この九つの試しを経れば、出来の悪い人間は見抜ける」。

解説

人を見抜くための九つの試しが並ぶ、実務的な一段です。遠くへやって忠実さを見る、急な期限で信義を見る、財を預けて仁を見る、危機を告げて節操を見る、酒に酔わせて偏りを見る。どれも、平時には見えないものを引き出す方法です。そして冒頭の一句が重い。「人の心は山川より険しく、天を知るより難しい」。天には規則がありますが、人にはありません。だから、試すしかないのです。

この一句を、あなたの毎日に。

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