荘子 / 列禦寇
施於人而不忘,非天布也。商賈不齒,雖以事齒之,神者勿齒。為外刑者,金與木也;為內刑者,動與過也。宵人之離外刑者,金木訊之;離內刑者,陰陽食之。夫免乎外內之刑者,唯真人能之。
新字:施於人而不忘,非天布也。商賈不齒,雖以事齒之,神者勿齒。為外刑者,金与木也;為內刑者,動与過也。宵人之離外刑者,金木訊之;離內刑者,陰陽食之。夫免乎外內之刑者,唯真人能之。
書き下し
人に施して忘れざるは、天の布(し)くに非ざるなり。商賈(しょうこ)は歯(よわい)せず。事を以て之を歯すと雖も、神なる者は歯せず。外刑を為す者は、金と木となり。内刑を為す者は、動と過となり。宵人(しょうじん)の外刑に離(かか)る者は、金木之を訊(せ)む。内刑に離る者は、陰陽之を食(は)む。夫れ外内の刑を免るる者は、唯だ真人のみ之を能くす。
現代語訳
人に施しをして、それを忘れないのは、天の与え方ではない。商人は仲間として数えられない。仕事の上では数に入れても、精神においては数に入れない。外の刑罰となるのは、金属(刃物)と木(かせ)である。内の刑罰となるのは、心の動揺と過ちである。つまらぬ者が外の刑を受ければ、刃物や木のかせが責め立てる。内の刑を受ければ、陰陽の気が身を食い荒らす。外と内の刑を免れられるのは、真人だけである。
解説
「人に施しをして、それを忘れないのは、天の与え方ではない」。この冒頭が鋭い一段です。天は雨を降らせても、恩に着せません。ところが人は、施したことを覚えている。覚えているということは、見返りを期待しているということです。それは施しではなく、取引です。そして内の刑罰の話が続きます。心の動揺と過ちが、内側から身を食い荒らす。外の刑罰は見えますが、内の刑罰は誰にも見えません。