荘子 / 列禦寇
小夫之知,不離苞苴竿牘,敝精神乎蹇淺,而欲兼濟道物,太一形虛。若是者,迷惑於宇宙,形累不知太初。彼至人者,歸精神乎無始,而甘冥乎無何有之鄉。水流乎無形,發泄乎太清。悲哉乎!汝為知在毫毛,而不知大寧!
新字:小夫之知,不離苞苴竿牘,敝精神乎蹇浅,而欲兼済道物,太一形虚。若是者,迷惑於宇宙,形累不知太初。彼至人者,帰精神乎無始,而甘冥乎無何有之郷。水流乎無形,発泄乎太清。悲哉乎!汝為知在毫毛,而不知大寧!
書き下し
小夫(しょうふ)の知は、苞苴(ほうしょ)竿牘(かんとく)を離れず。精神を蹇浅(けんせん)に敝(つい)やして、而も道と物とを兼済し、太一(たいいつ)を形虚(けいきょ)にせんと欲す。是の若き者は、宇宙に迷惑し、形は累(わずら)いて太初を知らず。彼の至人なる者は、精神を無始に帰し、而して無何有の郷に甘冥(かんめい)す。水は無形に流れ、太清に発泄す。悲しいかな。汝は知を毫毛に在らしめて、大寧(たいねい)を知らざるなり。
現代語訳
つまらない者の知恵は、贈り物や手紙のやり取りから離れられない。精神を浅はかなことに使い果たしながら、それでいて道と物を両立させ、大いなる一を形にしようなどと考える。そういう者は、宇宙の中で迷い、形に煩わされて、太初を知らない。至人は、精神を始まりのないところに帰し、何もない里で心地よく眠る。水は形のないままに流れ、澄み切ったところへ湧き出る。悲しいことだ。お前は知恵を毛先のような細かいことに使い、大いなる安らぎを知らずにいる。
解説
「贈り物や手紙のやり取りから離れられない」。つまり、人付き合いの調整に、知恵のすべてを使っている。この描写が身に沁みる一段です。誰に何を贈るか、どう返信するか。そんなことに精神をすり減らしながら、一方で大きなことを考えようとする。しかし精神は既に使い果たされている。「知恵を毛先のような細かいことに使い、大いなる安らぎを知らずにいる」。細部の調整に埋もれていないでしょうか。
この章句が説くこと
不離苞苴竿牘細部に精神を使い果たす知在毫毛而不知大寧
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