荘子 / 列禦寇
聖人以必不必,故無兵;眾人以不必必之,故多兵。順於兵,故行有求。兵,恃之則亡。
書き下し
聖人は必を以て必とせず。故に兵無し。衆人は不必を以て之を必とす。故に兵多し。兵に順う。故に行いに求むる有り。兵は、之を恃(たの)めば則ち亡ぶ。
現代語訳
聖人は、確かなことでも「必ずそうだ」とはしない。だから武器を持たない。凡人は、確かでないことを「必ずそうだ」と決めつける。だから武器が多い。武器に従って動く。だから、行いに何かを求めるようになる。武器は、それを頼りにすれば滅びる。
解説
「確かでないことを、必ずそうだと決めつける。だから武器が多い」。この因果関係が鋭い一段です。決めつけるから、守らねばならなくなる。守らねばならないから、武器が要る。逆に、決めつけない人には、守るべきものがありません。だから武器も要らない。私たちの争いの多くは、確信から生まれます。自分は正しいと確信するから、それを守るために武装するのです。