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荘子 / 漁父

子貢還,報孔子。孔子推琴而起曰:「其聖人與!」乃下求之,至於澤畔,方將杖拏而引其船,顧見孔子,還鄉而立。孔子反走,再拜而進。客曰:「子將何求?」孔子曰:「曩者先生有緒言而去,丘不肖,未知所謂,竊待於下風,幸聞咳唾之音,以卒相丘也!」客曰:「嘻!甚矣子之好學也!」孔子再拜而起曰:「丘少而修學,以至於今,六十九歲矣,無所得聞至教,敢不虛心!」

新字:子貢還,報孔子。孔子推琴而起曰:「其聖人与!」乃下求之,至於沢畔,方将杖拏而引其船,顧見孔子,還鄉而立。孔子反走,再拝而進。客曰:「子将何求?」孔子曰:「曩者先生有緒言而去,丘不肖,未知所謂,竊待於下風,幸聞咳唾之音,以卒相丘也!」客曰:「嘻!甚矣子之好學也!」孔子再拝而起曰:「丘少而修學,以至於今,六十九歲矣,無所得聞至教,敢不虚心!」

書き下し

子貢還りて孔子に報ず。孔子琴を推して起ちて曰く、「其れ聖人か」と。乃ち下りて之を求む。沢畔に至れば、方(まさ)に将に拏(かじ)を杖つきて其の船を引かんとす。顧みて孔子を見、還郷(かんきょう)して立つ。孔子反り走り、再拝して進む。客曰く、「子は将に何をか求めんとするか」と。孔子曰く、「曩者(さきごろ)先生は緒言(しょげん)有りて去る。丘は不肖にして、未だ謂う所を知らず。竊かに下風に待つ。幸いに咳唾(がいだ)の音を聞き、以て丘を卒(お)え相(たす)けよ」と。客曰く、「嘻(ああ)、甚だしいかな子の学を好むや」と。孔子再拝して起ちて曰く、「丘は少(わか)くして学を修め、以て今に至る。六十九歳なり。至教を得聞する所無し。敢えて心を虚しくせざらんや」と。

現代語訳

子貢が戻って孔子に報告した。孔子は琴を押しやって立ち上がり、「あの方は聖人ではないか」と言った。すぐに降りて追いかけた。沢のほとりに着くと、漁師はまさに櫂をついて船を出そうとしていた。振り返って孔子を見ると、向き直って立った。孔子は後ずさりし、二度拝礼して進み出た。客は「あなたは何を求めているのか」と尋ねた。孔子は言った。「先ほど先生は言いさして去られました。私は愚かで、その意味が分かりません。こうして風下で待っております。どうか、咳払いの一つでもお聞かせいただき、この丘を最後まで助けてください」。客は「ああ、なんとまあ学を好むことか」と言った。孔子は二度拝礼して立ち上がり、言った。「私は若い頃から学を修め、今に至って六十九歳になります。それでも至高の教えを聞くことができませんでした。どうして心を虚しくせずにいられましょうか」。

解説

六十九歳の孔子が、名もない漁師に「教えてください」と頭を下げる一段です。「至高の教えを聞くことができませんでした」。六十九年学び続けて、まだ聞けていないと言うのです。この率直さが凄い。そして「心を虚しくせずにいられましょうか」。空にしなければ、入ってこない。年齢も名声も、学びの前では意味がありません。むしろ、積み上げたものがあるほど、空にするのは難しくなります。

この一句を、あなたの毎日に。

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