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荘子 / 盗跖

世之所高,莫若黃帝,黃帝尚不能全德,而戰涿鹿之野,流血百里。堯不慈,舜不孝,禹偏枯,湯放其主,武王伐紂,文王拘羑里。此六子者,世之所高也,孰論之,皆以利惑其真而強反其情性,其行乃甚可羞也!

新字:世之所高,莫若黄帝,黄帝尚不能全徳,而戦涿鹿之野,流血百里。堯不慈,舜不孝,禹偏枯,湯放其主,武王伐紂,文王拘羑里。此六子者,世之所高也,孰論之,皆以利惑其真而強反其情性,其行乃甚可羞也!

書き下し

世の高しとする所は、黄帝に若(し)くは莫し。黄帝すら尚お徳を全うする能わずして、涿鹿の野に戦い、血を流すこと百里なり。堯は慈ならず、舜は孝ならず、禹は偏枯(へんこ)し、湯は其の主を放ち、武王は紂を伐ち、文王は羑里(ゆうり)に拘(とら)わる。此の六子なる者は、世の高しとする所なり。孰(つらつ)ら之を論ずれば、皆な利を以て其の真を惑わし、強いて其の情性に反す。其の行いは乃ち甚だ羞(は)ずべきなり。

現代語訳

世が最も高く評価するのは、黄帝である。しかしその黄帝ですら徳を全うできず、涿鹿の野で戦い、血は百里を流れた。堯は慈愛がなく、舜は孝行でなく、禹は半身不随になり、湯は主君を追放し、武王は紂王を討ち、文王は羑里に幽閉された。この六人は、世が最も高く評価する人物である。しかしよく考えてみれば、みな利益によって本心を惑わされ、無理に自分の性情に逆らった者たちだ。その行いは、まことに恥ずべきものだ。

解説

聖人たちを一人ずつ切り捨てていく一段です。黄帝は血の川を流し、堯は慈愛がなく、舜は孝行でなく、禹は働きすぎて半身不随になった。そして「みな利益によって本心を惑わされ、無理に自分の性情に逆らった」。ここが核心です。彼らは無理をしていた。本心に逆らって、立派な役割を演じていた。だからこそ悲惨な結末を迎えた。無理をして立派に振る舞うことの代償が、鋭く指摘されています。

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