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荘子 / 盗跖

孔子謂柳下季曰:「夫為人父者,必能詔其子;為人兄者,必能教其弟。若父不能詔其子,兄不能教其弟,則無貴父子兄弟之親矣。今先生,世之才士也,弟為盜跖,為天下害,而弗能教也,丘竊為先生羞之。丘請為先生往說之。」柳下季曰:「先生言『為人父者必能詔其子,為人兄者必能教其弟』,若子不聽父之詔,弟不受兄之教,雖今先生之辯,將奈之何哉?且跖之為人也,心如涌泉,意如飄風,強足以距敵,辯足以飾非,順其心則喜,逆其心則怒,易辱人以言。先生必無往。」

新字:孔子謂柳下季曰:「夫為人父者,必能詔其子;為人兄者,必能教其弟。若父不能詔其子,兄不能教其弟,則無貴父子兄弟之親矣。今先生,世之才士也,弟為盗跖,為天下害,而弗能教也,丘竊為先生羞之。丘請為先生往説之。」柳下季曰:「先生言『為人父者必能詔其子,為人兄者必能教其弟』,若子不聴父之詔,弟不受兄之教,雖今先生之辯,将奈之何哉?且跖之為人也,心如涌泉,意如飄風,強足以距敵,辯足以飾非,順其心則喜,逆其心則怒,易辱人以言。先生必無往。」

書き下し

孔子柳下季に謂いて曰く、「夫れ人の父たる者は、必ず能く其の子に詔(つ)ぐ。人の兄たる者は、必ず能く其の弟を教う。若し父は其の子に詔ぐ能わず、兄は其の弟を教うる能わずんば、則ち父子兄弟の親を貴ぶこと無からん。今、先生は世の才士なり。弟は盗跖と為り、天下の害を為す。而も教うる能わざるなり。丘は竊(ひそ)かに先生の為に之を羞(は)ず。丘請う、先生の為に往きて之を説かん」と。柳下季曰く、「先生は『人の父たる者は必ず能く其の子に詔ぎ、人の兄たる者は必ず能く其の弟を教う』と言う。若し子は父の詔ぎを聴かず、弟は兄の教えを受けずんば、今、先生の辯有りと雖も、将に之を奈何(いかん)せんとするか。且つ跖の人と為りや、心は涌泉の如く、意は飄風の如し。強は以て敵を距(ふせ)ぐに足り、辯は以て非を飾るに足る。其の心に順えば則ち喜び、其の心に逆らえば則ち怒る。人を辱むるに言を以てするを易しとす。先生必ず往くこと無かれ」と。

現代語訳

孔子が柳下季に言った。「およそ人の父たる者は、必ず子を諭せるはずだ。人の兄たる者は、必ず弟を教えられるはずだ。もし父が子を諭せず、兄が弟を教えられないなら、父子兄弟の親しさを尊ぶ意味がない。今、あなたは世に知られた才人だ。それなのに弟が盗跖となり、天下の害をなしているのに、教えることができない。私はひそかに、あなたのために恥じ入っている。どうか私に、あなたの代わりに行って説得させてほしい」。柳下季は言った。「あなたは『父は必ず子を諭せる、兄は必ず弟を教えられる』と言われる。しかし、子が父の言葉を聞かず、弟が兄の教えを受け入れないなら、いくらあなたの弁舌をもってしても、どうにもなりますまい。それに跖という男は、心は湧き出る泉のようで、思いは疾風のようです。力は敵を退けるに十分で、弁舌は自分の非を取り繕うに十分。自分の意に沿えば喜び、逆らえば怒る。言葉で人を辱めることなど、たやすいものです。あなたは決して行ってはなりません」。

解説

孔子が「私が説得しに行こう」と申し出る一段です。動機は善意でしょう。しかし柳下季の返答が的確です。「子が父の言葉を聞かないなら、いくら弁舌があってもどうにもならない」。そして弟の危険性を細かく警告します。心は湧き出る泉、思いは疾風。弁舌は自分の非を取り繕える。行ってはならない、と。それでも孔子は行きます。忠告を無視して善意で乗り込む。この構図が、後の惨敗を用意しています。

この一句を、あなたの毎日に。

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