荘子 / 外物
已而後世輇才諷說之徒,皆驚而相告也。夫揭竿累,趣灌瀆,守鯢鮒,其於得大魚難矣;飾小說以干縣令,其於大達亦遠矣。是以未嘗聞任氏之風俗,其不可與經於世亦遠矣。
新字:已而後世輇才諷説之徒,皆驚而相告也。夫掲竿累,趣灌瀆,守鯢鮒,其於得大魚難矣;飾小説以干県令,其於大達亦遠矣。是以未嘗聞任氏之風俗,其不可与経於世亦遠矣。
書き下し
已(すで)にして後世の輇才(せんさい)諷説(ふうせつ)の徒は、皆な驚きて相告ぐるなり。夫れ竿累(かんるい)を揭(かか)げ、灌瀆(かんとく)に趣(おもむ)き、鯢鮒(げいふ)を守るは、其の大魚を得るに於けるや難きかな。小説を飾りて以て県令(けんれい)に干(もと)むるは、其の大達に於けるや亦た遠し。是を以て未だ嘗て任氏の風俗を聞かざる者は、其の与に世に経(つね)とすべからざるも亦た遠し。
現代語訳
後の世の、才知の浅い、うわさ話好きの連中は、みなこの話を聞いて驚き合い、語り伝えた。しかし、細い竿と糸を掲げて、用水路に出かけ、小魚や鮒を狙っているようでは、大魚を得ることは難しい。つまらない小説を飾り立てて、県令の役職を求めるようでは、大いなる達成にはほど遠い。だから、任公子のやり方を聞いたこともない者は、この世で大きな仕事を成すことなど、はるかに及ばないのだ。
解説
前段を受けた、辛辣な一段です。用水路で小魚を狙っている人には、大魚は釣れない。当たり前ですが、身に沁みます。小さな成功を積み重ねることと、大きなものを狙うことは、まったく違う準備を要します。用水路にいる限り、どんなに腕を磨いても大魚には出会えない。場所が違うのです。そして「つまらない小説を飾り立てて役職を求める」。小手先の飾りで、小さな地位を得ようとする。それでは大いなる達成にはほど遠いのです。