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荘子 / 則陽

客出,惠子見。君曰:「客,大人也,聖人不足以當之。」惠子曰:「夫吹筦也,猶有嗃也;吹劍首者,吷而已矣。堯、舜,人之所譽也;道堯、舜於戴晉人之前,譬猶一吷也。」

新字:客出,恵子見。君曰:「客,大人也,聖人不足以当之。」恵子曰:「夫吹筦也,猶有嗃也;吹剣首者,吷而已矣。堯、舜,人之所誉也;道堯、舜於戴晉人之前,譬猶一吷也。」

書き下し

客出づ。恵子見ゆ。君曰く、「客は、大人なり。聖人も以て之に当たるに足らず」と。恵子曰く、「夫れ筦(かん)を吹くや、猶お嗃(かく)有り。剣首(けんしゅ)を吹く者は、吷(けつ)のみ。堯・舜は、人の誉むる所なり。堯・舜を戴晋人の前に道(い)うは、譬うれば猶お一吷のごときなり」と。

現代語訳

客が退出すると、恵子が拝謁した。王は言った。「あの客は、大いなる人だ。聖人でも、彼には及ぶまい」。恵子は言った。「笛を吹けば、まだ大きな音が出ます。しかし剣の柄頭の小さな穴を吹いても、ヒュッと鳴るだけです。堯や舜は、世の人が讃える聖人です。しかしその堯や舜を、あの戴晋人の前で持ち出すのは、たとえるなら、ヒュッという小さな音を立てるようなものです」。

解説

笛を吹けば大きな音が出るが、剣の柄頭の小さな穴を吹いてもヒュッと鳴るだけ。この比喩が絶妙な一段です。堯や舜という最高の聖人ですら、戴晋人の前ではヒュッという小さな音にすぎない。スケールが違いすぎて、比較にならないのです。私たちが最高だと思っている基準も、別の次元から見れば取るに足りない。基準そのものが相対的だと知ることが、この一連の教えです。

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